研究実績の概要 |
本研究の目的はProgrammed cell death 1 (PD-1)関連一塩基多型(SNPs)解析に基づき、多発性骨髄腫(MM)におけるPD-1と抗腫瘍免疫細胞の関連を明らかにすることで、予後や治療効果予測のバイオマーカ―への臨床応用である。 今年度は、前年度までに解析したPD-1およびPD-L1、CTLA-4のSNPsとMMとの有意な関連を認められなかったため、PD-1と同様に免疫を負に調節する因子Indoleamine 2,3-dioxygenase 1(IDO1)およびそのホモログIDO2のSNPs(IDO1 -1849 G/T(rs3824259)・IDO2 R248W (rs10109853))とMMの発症・病態への影響について解析を行った。 健常者に比べMM患者ではIDO2 R248Wの高活性タイプのRR型が有意に多かった。IDO1では有意な差は認められなかった。IDO2 R248W RR型(高活性タイプ)では低活性タイプと比べ、予後改善効果が高い免疫調節薬・プロテアソーム阻害薬といった新規薬剤治療率が高いにもかかわらず、両群の全生存期間に差はなく、IDO2 SNPsがMM新規薬剤の予後改善効果に影響を与える可能性を考え、さらなる解析を行っている。 PD-1は疲弊したT細胞(Tex細胞)だけでなく老化したT細胞(Tsen細胞)にも発現が認められる。MM患者ではTsen細胞が増加している報告もあり、今後Tsen細胞とPD-1の関係を明らかとするべく、in vitroでのT細胞老化の誘導を検討している。
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