平成29年度には、「ホモゲンチジン酸(HGA)の酸化反応の更なる迅速化」および「尿中の共存物質が測定系へ与える影響の確認」をおこなった。研究成果を以下に示す。
1.アルカリ溶液と酸化剤を組み合わせてHGAに添加すると、アルカリ溶液のみを添加した場合と比較し、HGAの褐色化は促進されることが明らかとなった。さらに、分光法により観察されるアルカプトン尿特有のピーク(406、430 nm)の吸光度を比較したところ、アルカリ溶液と酸化剤を組み合わせて添加したほうが2つのピークの吸光度は有意に上昇した。アルカリ溶液と酸化剤を添加した際のHGAの変化をLC-TOF/MSおよびNMRにて解析した結果、HGAはベンゾキノン酢酸(BQA)へと急速に酸化されていた。 2.尿中の共存物質が測定系へ与える影響のについて検討をおこなった。アスコルビン酸が尿中に高濃度存在すると、HGAからBQAへの酸化が阻害され、406、430 nmのピークは出現しなくなった。また、ビリルビンも尿中に高濃度存在すると、黄色調が強くなるため、406、430 nmのピークは観察できなかった。
以上1、2の研究内容については、現在、論文投稿中である。
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