研究課題
酸化低密度リポタンパク質(酸化LDL)は動脈硬化の主な原因物質として知られている。酸化LDLは不安定プラークに高濃度に蓄積され、その血中濃度も上昇することから、血中酸化LDL濃度を診断指標とすることは動脈硬化の予防・診断において極めて有用なツールになると考えられる。本研究は、私達の見出した酸化LDL特異結合性蛍光標識ペプチドを用いた血中酸化LDL濃度定量法の開発と体外診断への応用を目的としている。私達は、昨年度まで、このペプチドや酸化LDL抗体、ポリエチレングリコールを用いた新たな酸化LDL濃度定量法を開発した。本年度(最終年度)は、実際にこの定量法を用いて動脈硬化性疾患の患者、及びその対照として健常者の血中酸化LDL濃度を測定し、本技術の体外診断における有用性を検証した。その結果、この手法により、動脈硬化性疾患の患者の血中酸化LDL濃度は健常者に比して高い傾向にあったが、患者やその症状によって結果にばらつきがあること、血液中の乳びなどの影響(すなわち、採血前の食事等の影響)を受け易いことなどから、この手法にさらなる工夫が必要であると考えられた。一方、私達は、酸化LDLに対して特異的結合性を示す、薬物代謝酵素由来の新たな蛍光標識ペプチドの創出に至った。今後はさらに、本定量法の実用化へ向けて、これまでの問題点を全て解決てきるよう、早急に研究を進めていきたいと考えている。
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Journal of Peptide Science
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10.1002/psc.3274
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