研究課題/領域番号 |
16K19203
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
森下 総司 順天堂大学, 医学部, 助教 (10635866)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 骨髄増殖性腫瘍 / 予後因子 / 生細胞内イメージング |
研究実績の概要 |
骨髄増殖性腫瘍と呼ばれる疾患群のうち,一部の疾患では二次性の骨髄線維症へ移行することが知られている。移行後の全生存期間は約3年で,予後は極めて不良であることから,線維症の予後因子を把握し,いち早く治療へ結びつけることが重要である。本研究では,線維症への移行に,骨髄増殖性腫瘍のドライバー変異とされるJAK2V617F変異を始めとする遺伝子変異を有する細胞集団の違いが深く関わっていると考え,細胞を変異の有無に基づき1細胞ごとに分離できる技術を開発し,開発した技術をもって線維症への移行例と非移行例との間に血球細胞のポピュレーションに違いがあるかを調べることとした。平成28年度では,遺伝子変異の違いにより蛍光強度に変化を生じるような核酸プローブを設計し,これを用いて遺伝子変異の有無を判別できるかを検討した。 JAK2遺伝子野生型,JAK2遺伝子変異型,BIRC5遺伝子の配列を模した合成オリゴを作製し, これらを核酸プローブと混合して蛍光強度の変化を測定した。反応条件は,合成オリゴと核酸プローブの混合物を37度で1時間インキュベートし,その後30分間反応液の蛍光強度を測定した。その結果,JAK2遺伝子野生型,BIRC5遺伝子と核酸プローブを混合した系では蛍光強度の変化は見られなかったが,JAK2遺伝子変異型と混合した場合には蛍光強度の有意な増加が認められ,設計した核酸プローブには配列特異性があり,変異型由来の配列を検出できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,平成28年度中に細胞を遺伝子変異の有無に基づき分離できる技術を確立する予定であったが,実際には核酸プローブの設計に成功したに留まり,プローブを細胞内へ導入し,蛍光強度の差を検出するに至っていない。これは,プローブの細胞内への効率的な導入のための条件を決定できていないことが原因である。そのため平成28年度の進捗状況を「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り,平成28年度中に実施予定であった,細胞を分離する技術の確立には至らなかった。この遅れは,平成29年度へ持ち越し,平成30年度に29年度と当初の30年度の予定を実施する方向で軌道修正を図る。もともと,平成30年度の当初計画はJAK2遺伝子以外の変異検出の系を確立するのみであるため,実施可能と判断した。
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