研究課題/領域番号 |
16K19206
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
山形 一行 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (60455912)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | TET2 / 白血病 / 体細胞変異 / エピジェネティクス |
研究実績の概要 |
白血病において見られるTET2遺伝子の高頻度の体細胞変異の意義を明らかにし、臨床応用につなげることが本研究の目的である。本研究は特に変異が多数見つかる機能未知のCRドメインの機能を探ることに焦点を絞り、研究計画を立案している。これは将来の白血病患者に最も必要な「TET2変異における白血病に対するオーダーメイド医療」への基礎的な知見を得るのみならず、研究過程で樹立する実験系についてTET2の変異を標的とする創薬・診断の現場の応用を目指す。 【13.研究発表】で示したとおり、本研究は予想以上に進展し、TET2の機能未知のCRドメインがヒストンH3のリジン36番のモノ、ジメチルを認識するドメインであることを発見した。白血病で見られる体細胞変異を導入すると、この認識機構が撹乱することも確認した(Yamagata K. and Kobayashi A.; J Biochem (2017))。本研究結果を学術論文、招待講演、学会などでに発表するに至り、高い評価を得た。また、本研究はオープンアクセスにすることで科研費にて得られた成果が誰にでもアクセスできるように配慮した。 引き続き、このドメインの白血病発症における機能を明らかにしていくとともに、本発見を臨床応用するための基盤開発を行う予定である。すなわち、TET2のCRドメインの機能解析を通して基礎研究が先行するTET2研究をより確度の高い病理診断へ貢献する臨床応用の橋渡しを目指すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は水面下で国際的な競争に晒され、我々は緊急で速報誌に投稿する必要があった。幸い、本研究を論文に投稿し、受理された(Yamagata, K., and Kobayashi, A J Biochem. (2017) 161 (4): 327-330.)。その過程でTET2で頻繁に体細胞変異の起こるCRドメインがその変異によってヒストンH3K36のメチル化の認識が変化してしまう現象を偶然発見した。この減少が白血病の進展並びに早期発見のヒントになると考え、現在鋭意研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況に示したTET2のCRドメインの変異によって特異的に標的遺伝子座へのリクルート、標的遺伝子の発現変化、細胞生物学的機能の変化が起こる可能性がある。そこで、それらの変化を検出するとともに、化合物のスクリーニングを行うモデル実験系の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
千葉大学への異動が決定したため、機器移送のための費用相当額を次年度使用に計上した。
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次年度使用額の使用計画 |
千葉大学への機器類移送に65,720円を見込んでいる。2017年度の使用計画は研究計画に準ずる。
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