研究実績の概要 |
本研究の目的は、白血病に見られるTET2遺伝子の高頻度の体細胞変異の意義を明らかにし、臨床応用につなげることである。本研究では特に変異が多数見つかる機能未知のCRドメインの機能を探ることに焦点を絞り、研究計画を立案した。これは将来の白血病患者に最も必要な「TET2変異における白血病に対するオーダーメイド医療」への基礎的な知見が得られるだけでなく、研究過程で樹立する実験系についてTET2の変異を標的とする創薬・診断の現場の応用を目指している。本来2018年度をに本研究を終了する予定であったが、2018年度から行った千葉大学内での共同研究でBioinfomatics解析をおこなった結果、多数のnon-coding RNAを見出した。この解析を更に進めるために研究を延長し、千葉大学大学院医学研究院の田中知明教授と共同研究を開始したことにより、ミトコンドリアゲノムを簡便にシークエンスする方法論を開発する事ができた。(Yao Y. et al. Scientific Report 2019)。さらに、抗癌剤によって誘導される多数のノンコーディングRNAを同定し、ヒトES細胞での分化能に寄与している可能性を見出した(Tamura A. and Yamagata K. et al. Human Frontier Science Program, 2019.07. 筑波)。本研究は2020年度科研費に採択された基盤研究(C)(がんとヒト幹細胞で共に機能する長鎖非コードRNA作用機序解明と難治癌における役割)で更に解明を進めていく予定である。
|