研究実績の概要 |
獲得型カルバペネマーゼ遺伝子(OXA-23型、OXA-58型、IMP型)を有するカルバペネム耐性アシネトバクター属菌42株(菌種内訳:Acinetobacter baumannii 17株, Acinetobacter pittii 14株, Acinetobacter nosocomialis 10株, Acinetobacter ursingii 1株)を対象に、全ゲノム解読を実施し、カルバペネマーゼ遺伝子の局在(染色体もしくはプラスミド)の検討及びカルバペネマーゼ遺伝子配列の周辺構造比較を行った。全ゲノム解読は、S1-PFGEにて染色体DNAとプラスミドDNAを分離後に実施した。カルバペネマーゼ遺伝子が検出されたプラスミドについては、得られた解読配列を用いて既報(Bertini et al., Antimicrob Agents Chemother 2010、Towner KJ et al., Antimicrob Agents Chemother 20011)に従い、in sillicoでレプリコンタイピングを実施した。また、一部のプラスミドについては、既報のアシネトバクター属菌のプラスミド配列との比較を行った。 IMP型カルバペネマーゼ遺伝子は、全ての解析対象株において、プラスミド上に存在することが示唆されたが、OXA-23型カルバペネマーゼ遺伝子は、一部の株を除き、解読したプラスミドDNA上には検出されなかったことから、染色体上に存在する可能性が示唆された。また、IMP型とOXA-58型の2つのカルバペネマーゼ遺伝子を含むプラスミドが検出された。引き続き、詳細な比較解析を進める予定である。
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