研究課題/領域番号 |
16K19210
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
森谷 俊介 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 研究員 (60717544)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ポリアミン / 酵素活性測定法 / 安定同位体標識化合物 / 質量分析 / 代謝解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、ポリアミンの一種であるN1,N12-ジアセチルスペルミンががん患者尿中で健常者に比べ数値が上昇するメカニズムの解明に向け、解析に用いるポリアミン代謝酵素の活性測定法の構築を行い、それを用いて生体内のポリアミン代謝を解析することを目的としている。平成28年度は活性測定法の構築に用いる化合物と酵素の取得を行い、酵素活性測定法確立への予備検討を行った。 化合物は、主に内部標準に使用する安定同位体標識したプトレシンと、酵素基質に使用する安定同位体標識したスペルミジンを化学合成し、獲得した。いずれの化合物も未標識の原料で予備実験を行った後、安定同位体標識された原料を用いて本合成を行った。酵素は、オルニチン脱炭酸酵素、S-アデノシルメチオニン脱炭酸酵素、スペルミジン合成酵素、スペルミン合成酵素の4種の酵素を、それぞれ大腸菌を用いて生合成させた。大腸菌が生産する酵素は末端にタグと呼ばれるタンパク質が付加した融合タンパク質として発現し、タグを用いて精製を行い、検討に用いる酵素源を得た。 次に、活性測定のための前処理条件や酵素の反応条件などの予備検討を行った。検討が順調に進んだことから、次年度の計画に用いる生体材料を獲得するため、ラットに対し薬剤投与や外科手術による酵素の活性化を誘導し、ラット組織から検討に用いる活性化された酵素源を得た。一部の酵素については、現在、その酵素源を用いての検討が進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、実験材料の取得、活性測定のための予備実験を行う予定であり、計画通りに進めることができた。計画に先行し、生体材料を用いての酵素活性測定法の確立の検討を行ったが、その結果から計画当時に考えが及ばなかった生体試料を測定する際の問題点が明らかになった。この問題への解決のため、安定同位体標識された基質の質量数デザインから見直しを行い、基質化合物の再合成を行っている。しかし、計画の進行に大きな影響はなく、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は獲得した材料を用いて、4種の酵素の活性測定法の構築を行う予定である。酵素の基本的な性質について把握するために、反応速度論的解析や保存安定性などについての検討を行い、同時に平成28年度に行った予備検討の反応条件などについて確認を行う。それぞれの活性測定法の検討は同時並行で行っていくのではなく、研究を進めることで問題が見えてきた平成28年度の経験から、酵素の性質を理解できたものから順に次の段階へと移り、必要が生じた場合は材料の取得から検討をやり直す予定である。 生体試料にはマウス組織を用いる計画であったが、試料の採取量に有利な点やポリアミンの代謝に関連した報告が多いことから、ラットを用いる計画への変更を行う。それによる目的への達成には問題がないと考えている。生体試料を用いた検討では、夾雑物による反応の妨害や副反応などによる測定への影響が考えられるため、特異的阻害剤の添加などの工夫により、組織中の正確な酵素活性値を求める測定系の検討を行う。希釈直線性や活性の添加回収試験のようなバリデーション試験を行い、測定系の評価を行う予定である。 以上の検討の段階でまとまったデータが整えば、その内容を主に論文の執筆を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の使用額が生じた理由としては、購入を計画していた窒素発生装置への支出を変更したため、直接経費に残額が生じた。試薬・消耗品などについても、以前からの研究室の保有物品で計画を進めることができたため、支出を抑えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
それらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては、本年度獲得した化合物の分析委託費や動物組織獲得の委託費などに使用することを計画している。化合物を分析するために必要な分析機器が研究室・研究所に無いため、外部委託で行う必要が生じた。また、動物組織の獲得には安定した外科手術の技量が必要なため、動物実験を専門とする委託企業に作製を依頼することを考えており、それらに平成28年度の残額を支出する。また、追加での化合物の取得を計画しており、試薬・消耗品の購入増額が予想されるため、これらの購入費にあてる。平成28年度同様に、学会への参加のための旅費や海外文献の翻訳のための謝金として使用することも計画している。
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