再生医療において、X線計測は非侵襲的な方法として期待されている。本研究では、生体高分子材料の画像化と骨塩量評価が可能なマイクロフォーカス軟X線装置の試作を目標に、①K吸収端フィルタ厚パラメータ及び管電圧パラメータの数値シミュレーション、②準単色軟X線による高コントラスト画像の取得、③準単色二重エネルギー軟X線を利用した骨密度量の定量的計測法の精度検証を目的としている。 基礎的検討としてマイクロフォーカス軟X線装置の連続X線に対して、K吸収端フィルタ(金属フィルタとしてジルコニウムと錫を採用)による連続軟X線の準単色化及び二重エネルギー化に最適なフィルタ厚パラメータと管電圧パラメータに関する数値計算を行った。数値計算の結果を実証するためにX線スペクトルを実測し、単一フィルタ時の管電圧及びフィルタ厚の最適条件についてはK吸収端エネルギーより10keV高くなるような管電圧においてフィルタ厚0.3mmが単色化条件として適当であることを確認した。二重フィルタ時は管電圧35kVにおいてフィルタ厚が錫0.3mm、ジルコニウム0.2mmが最適であった。 応用的計測法として、第一に準単色軟X線を用いた生体高分子材料の高コントラスト画像の画質評価を行った。その結果、単色性の高いX線スペクトルを用いることによって画像のコントラスト分解能が向上することが認められた。第二に準単色二重エネルギー軟X線を用いて骨塩量の測定精度について評価を行った。アルミニウムを模擬骨試料として、アルミニウム厚1mmから3mmの範囲内で相対誤差5%以内で一致した。 本研究が示した準単色X線技術は、従来の方法に比べると汎用性が高く、X線エネルギーについては対象組織によって検討する必要があると考えられるが、再生骨材料評価が簡便に実施できるようになることが期待される。
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