研究課題/領域番号 |
16K19227
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大野 直樹 金沢大学, 保健学系, 助教 (30642219)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | MRI / 頭蓋内環境 / 弾性 / 灌流 / 拡散 |
研究実績の概要 |
本研究は,脳腫瘍における弾性,灌流および制限拡散情報を独自に開発した揺動MRIを用いて一度の撮像で統合的に評価する手法を確立し,新たな診断情報として利用することを目的とした.平成28年度は1)心電図同期併用多時相多段階拡散強調MRIの開発と2)揺動MRIの3成分(弾性,灌流,制限拡散)同時解析法の構築を中心に行った. 1.心電図同期併用多時相多段階拡散強調MRIの開発 心電図同期併用single-shot diffusion echo planar imagingを使用し,拡散強調の度合を制御するb値(拡散検出用傾斜磁場の振幅)を段階的に変化させながら多断面多心時相(約30時相)の脳の拡散強調画像を短時間に取得することが可能となった. 2.揺動MRIの3成分(弾性,灌流,制限拡散)同時解析法の構築 拡散強調画像の信号に内在する灌流および制限拡散成分情報を同時に取得するために,複数のb値で得た拡散強調画像の信号強度を多重指数関数によって解析し,灌流成分の拡散係数(Dp)と制限拡散成分の拡散係数(D)を算出した.また,心周期における水分子拡散の変化(水分子揺動)に内在する弾性情報を取得するために,全心時相の画像から心周期におけるDの変化量(ΔD:弾性情報)を算出した.さらに,これらの解析手順を自動化した解析プログラムを開発した. 次年度は本手法で取得した各情報の正当性を検証するために,独自に作製した頭部動態ファントムと健常ボランティアを撮像して取得した揺動MRIデータに対して本解析手法を適用し,検討を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は心電図同期併用多時相多段階拡散強調MRIを開発し,揺動MRIの3成分(弾性,灌流,制限拡散)同時解析法を構築した.一部の研究成果について論文投稿中であり,概ね予定通り進展したと考える.
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今後の研究の推進方策 |
本手法で取得した各情報の正当性を検証するために,独自に作製した頭部動態ファントムと健常ボランティアを撮像して取得した揺動MRIデータに対して本解析手法を適用し,検討する予定である.得られた研究成果を社会に向けて広く発信するために,国際会議を中心とした学会発表,欧文誌への論文投稿,ホームページ(http://miyatilab.w3.kanazawa-u.ac.jp)上で成果報告を行う.さらに,開発したパルスシーケンスと解析用コンピュータプログラムは,広く利用できるように公開する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に拡散MRIパルスシーケンスを購入予定であったが,MRI装置の更新時期と重なったために見送った.
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次年度使用額の使用計画 |
本研究で実施するファントム実験に必要な備品,消耗品を購入するとともに,研究成果を公表するための学会発表,論文発表費用に充てる.
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