研究課題
放射線治療における既存の治療計画装置ではCT画像において白から黒までの明暗だけで表現したグレースケールから密度のみを決定しこれを利用して線量計算を行ってきた。本研究ではDual Energy CT (Computed Tomography)を使用し造影剤の撮影から造影剤の密度、組成を解析し、この情報から画像上に存在する造影剤を特定する方法を作成し放射線治療計画における正確な線量計算が行えることを目指す。さらに造影剤濃度も特定することで正確に造影剤を割り当てることを目指した。本研究ではこれまでに2種類の造影剤抽出法(①kV-X線CT値と電子密度を組み合わせた造影剤抽出法②単色X線CT値を使用した造影剤抽出法)を検討した。①では造影剤濃度2mg/ml以上では抽出可能となった。②では造影剤濃度1mg/ml以上で抽出可能となり造影剤抽出システムとしては②の手法を最終的に採用した。造影剤抽出プログラムを使用した線量計算システムでは放射線線量計算コードであるEGSnrc/BEAMnrc及びParticle and Heavy Ion Transport code Systemを用いてモンテカルロ計算を使用したシステムとした。造影剤濃度1mg/mlにおいて造影剤を含む場合と含まれない場合の線量計算結果は線量差1%程度であり、造影剤抽出精度限界である1mg/ml以下での線量差は大きくなく、線量計算を行うための造影剤抽出精度としては充分であることを示した。本研究の現在までの成果はDual Enegy CT画像における造影剤の電子密度値、実効原子番号値との関係として論文掲載1本、造影剤抽出法に関して論文掲載1本及び査読中1本、さらに造影剤が含まれる場合の線量に関する検討として3本論文掲載されている。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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