研究代表者は先行研究において「3次元MV-CBCT画像内の腫瘍位置自動推定方法」を3次元kV-CBCT画像に適応し,その精度を解析・検証した.解析の結果,提案手法はkV-CBCT画像内の腫瘍領域を 2.0 mm 以内の精度で推定できることが示された.これらの成果は論文にまとめ,「医用画像情報学会雑誌」にて報告した. 先行研究における提案手法はテンプレートマッチング技術を用いた腫瘍領域の探索であり,腫瘍の平行移動のみを考慮していた.しかし,生体内で腫瘍領域は平行移動だけではなく回転や変形を伴いながら移動する場合がある.また,放射線治療は比較的長期に渡って行う治療方法であり,治療中に腫瘍領域の形状自体が変化する可能性もある.そこで,腫瘍の回転性移動や形状変化に対応した腫瘍領域を推定するために,非線形レジストレーション技術を用いて提案手法を発展させることを検討し,必要な技術の習得と環境整備を行った. また,提案手法の対象を腫瘍だけでなくリスク臓器に拡張して適応することを検討した.しかし,リスク臓器は腫瘍よりも更に位置や形状などの変化が大きく,提案手法や非線形レジストレーションを用いて発展させた手法では,高い精度で推定することが難しいと判断した.そこで,機械学習アルゴリズムによる支援に基づいて提案手法を発展させることで,リスク臓器の領域自動推定を行うことを検討し,必要な技術の習得と環境整備を行った. さらに,複数のモダリティの画像 (MRI・PET画像) に先行研究の提案手法を応用し,各画像内の腫瘍やリスク臓器領域を推定する手法を検討し,今後の課題とした.
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