研究課題/領域番号 |
16K19236
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
若井 展英 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50745338)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | IMRT / VMAT / FFFビーム / MLC / 品質管理 |
研究実績の概要 |
平成28年度は高線量率のFlattening filter-free (FFF) ビームを用いた強度変調放射線治療 (Intensity Modulated Radiation Therapy : IMRT)において、Multileaf collimator(MLC)の位置誤差と線量誤差の関係を求め、論文用のデータを追加するために、平成29年度は強度変調回転放射線治療(Volumetric Modulated Arc Therapy : VMAT)でも同様の検討を行った。VMATは近年、急速に臨床応用が進んでおり、IMRTと比べて照射時間の短縮が可能である。平成28年度にIMRTで検討した前立腺癌10例に対してVMATで同様の検討を行った結果、VMATではIMRTと同様の線量分布の達成が可能であった。モニターユニット(Monitor Unit : MU)はVMATの方が少なかった。MLCの位置誤差が腫瘍の線量に与える影響はVMATの方が小さくなった。これによりVMATではMLCの位置誤差の影響を受けにくい堅牢性の高い治療計画の作成が可能であることが分かった。また、IMRTでは通常ビームを用いた場合と比べて、FFFビームではMLCの位置誤差による線量誤差は大きかったが、VMATでは通常ビームとFFFビームで線量誤差に大きな差はなかった。 多列半導体検出器を用いたIMRTの各門の測定では、基準値を2 mm / 2%としてガンマ解析を行い、Pass rateを算出した。Leaf gap error(MLCの開度の誤差)が0.2 mmではPass rateは低下しないが、Leaf gap errorを0.6 mmとした場合、Pass rateは低下した。また、通常ビームを用いた場合と比べて、FFFビームではPass rateの低下が大きくなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
過去にIMRTの治療計画に対して任意のMLCの位置誤差を加えて線量計算するシステムの構築を行っており、治療計画装置を用いて前立腺と頭頸部のIMRTに対してMLCの位置誤差を加えた場合の線量的影響に関するデータを得た。このIMRTの治療計画を多列半導体検出器に照射して、治療計画装置の計算結果と実際に測定した線量の比較を行った。論文のデータ追加のために、新たにプログラミングソフトを購入し、VMATの治療計画に対して任意のMLCの位置誤差を加えることが可能なシステムを構築した。このシステムを使用して、前立腺のVMATに対してMLCの位置誤差が腫瘍の線量に与える影響を求めた。このVMAT用の検討を追加したため、予定より研究の進捗が遅れた。
|
今後の研究の推進方策 |
IMRTで検討した論文の修正を行い、再投稿を行う。臨床現場では照射時間の短縮のメリットがあるためにIMRTからVMATに置き換わっている。VMATでの検討は前立腺しか行っていないため、頭頸部に対してVMATの治療計画を作成し、MLCの位置誤差が腫瘍の線量に与える影響を求め、IMRTとVMATの違いに関して検討し、MLCの位置誤差に堅牢な照射法を決定する。通常ビームとFFFビームの違いに関しても検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
学会出張と図書購入が予定より少なかったため次年度使用額が生じた。追加のデータ解析のためのパソコン購入、論文投稿を行う際の英文校正と投稿料に使用する。
|