研究課題
本研究ではこれまで、頭頸部や前立腺といった強度変調放射線治療 (Intensity Modulated Radiation Therapy : IMRT)や強度変調回転放射線治療(Volumetric Modulated Arc Therapy : VMAT)の適用が長年行われている部位においてMultileaf collimator(MLC)の位置誤差と線量誤差の関係を検討してきた。平成30年度は近年、VMATの適用が進んでいる多発脳転移におけるMLCの精度の検討を行い、国際学会での発表と論文化を行った。従来の放射線治療では個々の転移に対してアイソセンターを設定して、照射が行われてきた。近年、VMATやDynamic Conformal Arc(DCA)の技術を用いて、多数の病変を1つのアイソセンターで一度に照射する手法が開発された。多発脳定位の放射線治療では頭頸部や前立腺と比べて、照射すべきターゲットが小さいため、正確な線量を投与するためには、より高い精度でMLCを制御する必要がある。この検討では5名の多発脳転移(3~5個)の患者に対して、1つのアイソセンターでVMATとDCAの治療計画を作成した。実際に放射線治療装置を使用して、照射した際に出力されるログファイルを利用して、MLCの動作精度を解析した結果、MLCのRoot Mean Square(RMS)エラーは0.02 mm程度であり、多発脳転移とは異なる部位の先行研究と同程度の結果となった。また、Electronic portal imaging deviceを用いたフルエンスの検証も行い、線量誤差を3%、位置誤差を1 mmとしたガンマ解析でパス率はおおむね90%以上と良好な結果であった。
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定位的放射線治療
巻: 23 ページ: 37-42