研究課題/領域番号 |
16K19240
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
三木 健太朗 広島大学, 病院(医), 病院助教 (90732818)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 粒子線検出器 / モンテカルロ / シンチレータ検出器 / MPPC |
研究実績の概要 |
放射線治療における粒子線を用いた画像化システム構築のため、シミュレーションを用いて飛程シフト量を画像化する手法について検討している。粒子線の深さ方向の線量分布をシミュレーションするため、GEANTを用い、ブラッグピークの分布をモンテカルロで作成した。CTデータから水等価のマップに変換し、2Dのガウス分布で鈍らせた画像を作成した。ブラッグピークの深さ方向の位置を、水等価マップに応じてシフトさせ、そのシフト量を用いて再度画像を再構成した。もともとのCT画像と比較すると、3mm程度のレンジの差が確認できた。本計算を2Dガウスの分散を変化させながら繰り返し、再構成画像に与える影響について考察した。現在、シミュレーションコードに、検出器による粒子線検出応答を組み込む作業を進めているが、フラットパネルによる粒子線の応答を現実的なモデルでシミュレーションするのにやや難航している。そこでまずはフラットパネルに効率よくブラッグピークを入射させるのに必要なレンジシフタの材質や厚みを最適化にする事について検討を始めた。本研究では検出器としてフラットパネルの使用を想定しているが、体内組織による飛程シフト量が微量で検出能が十分でなかった場合のための、検出器開発も想定している。平成29年度に開始予定としていた、ごく微小な光を増幅して高感度で検出するMPPCを用いたシンチレータ検出器の、粒子線画像化システムへの応用について検討するための基礎研究を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究員任期の更新時に、放射線医学総合研究所から広島大学へ異動した事により、研究環境及び職務が変化した事が少なからず本研究の推進へ影響した。しかし本研究は主にシミュレーションを用いたシステム構築の検討と、新しい検出器開発のための素子の基礎研究を軸としているため、遂行には問題ないと考えている。現在では研究開発環境が整い、本研究に割く時間も十分に確保できているため、今後研究の加速は可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
GEANTによる基本的なシミュレーション環境を構築したので、予定通り必要なレンジシフタの最適化に関する検討を継続する。研究環境が変化した事により、粒子線ビームラインの使用が比較的困難になってしまったため、今後は実測よりもシミュレーションによる検討により主軸を移す事とする。粒子線イメージングは近年、学会等での報告も増加しているが、実現にはまだ課題が多く、学会や機器展示会などからの情報を元に、柔軟に研究を遂行したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
シミュレーションのための専用のワークステーションを購入予定であったが、現在までの計算量であれば通常のコンピュータで計算可能であったため、ワークステーションの購入を見送った。一方29年度に開始予定にしていたMPPCの基礎研究を28年度に開始するため、いくつかの部材を前倒しで購入した。
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次年度使用額の使用計画 |
主にMPPCの購入、実験用ジグ、シグナル観測用のエレキ(マルチチャンネルアナライザー)などを購入する予定である
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