研究課題/領域番号 |
16K19243
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 澄貴 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (10733371)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エピゲノム / ダイオキシン / 遺伝子多型 / 環境化学物質 / 妊婦 / 遺伝環境交互作用 / 疫学 / 公衆衛生学 |
研究実績の概要 |
胎児期の母のダイオキシン類曝露と児のエピゲノム変化との関係に影響を及ぼす遺伝子多型の関与を解明するために、出生前向きコーホート研究「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ(以下、北海道スタディ)」の母児を対象に検討した。 北海道スタディ対象者514名のうち、胎児期の母体血中ダイオキシン類濃度と臍帯血中DNAメチル化率が得られたのは169名で、29異性体を合計したダイオキシン類毒性等価量(TEQ)の中央値は13.9 TEQ pg/g lipidであった。 独立変数はダイオキシン類TEQの常用対数値とし、従属変数は児の発育に関わるInsulin growth factor (IGF)-2、H19、およびLong interspersed nucleotide element (LINE)-1のメチル化率とした。母の年齢、身長、妊娠前体重、妊娠後期の母の喫煙状況、過去の出産歴、教育歴、世帯収入、妊娠中近海魚摂取状況、妊娠中遠洋魚摂取状況、児の性別およびDNAメチル化解析時期で調整した重回帰分析で検討した。 胎児期のダイオキシン類TEQ値が10倍増えると、IGF-2のメチル化率は1.24%減少(95% CI: -4.05, 1.57)、H19のメチル化率は0.47%増加(95% CI: -1.25, 2.20)、LINE-1のメチル化率は0.30%増加(95% CI: -0.73, 1.33)したものの、いずれも有意ではなかった。 本研究から胎児期のダイオキシン類濃度が児の発育に関わるDNAメチル化率に及ぼす影響は小さいと考えられた。現在、母の遺伝子多型を解析しているところである。母の遺伝子多型によって胎児期の母のダイオキシン類濃度と児のエピゲノム変化との関連に影響の違いが認められるかについては、今後引き続き検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始は遅れずにでき、本年度中に既存のデータを元に対象者を設定することができた。母の遺伝子多型解析を現在実施しており、ほぼ予定通りの進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の母の遺伝子多型解析を実施し、本研究を着実に推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、遺伝子多型解析実験のための事前調査が中心となったため、試し実験のみで終了した。そのため本試験に必要な試薬などの購入を控えたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
遺伝子多型解析実験の試し実験が本年度終了し、次年度本試験が出来る見込みが立った。本年度購入予定だった実験に必要な試薬などを次年度に購入し、本試験を実施して本研究課題を確実に遂行する予定である。
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