研究課題
我が国で低出生体重児割合の上昇、小児肥満・やせ型傾向の増加が報告されている。この背景として生活習慣の変化と共に、胎児期の環境要因による後天的な遺伝子発現制御機構であるエピゲノムが関与する可能性が示された。エピゲノムの一つであるDNAメチル化は、個体の発生・分化の段階でダイナミックに変化しており、環境要因から最も強く影響を受けやすく、母体の環境要因が胎児のエピゲノムに影響する可能性がある。そこで本研究は、妊娠中の環境要因がエピゲノムの作用機序を介して出生時から学童期までの脂質代謝や小児肥満・やせ型に与える影響を明らかにすると共に、出生低体重や小児肥満・やせ型傾向のリスクとなる環境要因を明らかにすることにより予防的な知見を提供する。平成28年度は「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ」「大規模コホート」の参加者を対象に、小児の発育曲線を作成してやせ型・肥満を評価することを目的として、12-13歳に到達する児2153名に学校健診記録の転記を依頼する調査票を郵送した。調査票は小学校入学から小学校6年間の学校健診記録のうちから1年に1-2回の身長・体重のデータの転記をお願いするものであった。2016年4月以降に新学期の学校健診が実施された後に、小学校入学から調査時点までの身長・体重データを668人(2017年2月28日時点:回収率31.0%)から収集した。
2: おおむね順調に進展している
「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ」「大規模コホート」の参加者を対象に、小児の発育曲線を作成してやせ型・肥満を評価するために、12-13歳に到達する児2153名に学校健診記録の転記を依頼する調査票を郵送した。調査票は小学校入学から小学校6年間の学校健診記録のうちから1年に1-2回の身長・体重のデータの転記をお願いするものであった。2016年4月以降に新学期の学校健診が実施された後に、小学校入学から調査時点までの身長・体重データを668人(2017年2月28日時点:回収率31.0%)から収集した。
2016年に調査票を郵送したが、学校健診記録の転記がまだ未返送の対象者については、2017年4月以降の学校健診後に、学校健診記録が自宅に返却されるタイミングに合わせて、調査票返送の督促を実施し回収率の向上に努める。2017年4月以降も新しく12歳に到達する児について学校健診記録の転記を依頼する調査票を新規に発送し、対象者人数を拡大して、ケースとなるやせ型・肥満の評価を行う。
学校健診記録の転記を依頼する調査票の発送および回収費用は、第二次性徴発来を評価する別の目的の研究費と分担して行ったために、調査費用が研究計画より低くなった。
平成29年度以降に、生体試料中のエピゲノム解析を実施する予定で、実験補助の人件費および実験試薬の購入に支出する。
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
British Journal of Nutrition
巻: 115(12) ページ: 2227-2235
10.1017/S0007114516001628
https://www.cehs.hokudai.ac.jp/research/yearly/