本研究の目的は重症心身障害児(重症児)にとって最適な栄養法を確立することである。今回我々は本邦初となる前向きコホート研究にて、小児期から栄養法への介入を行うことの意義を考察する。平成27年度までの岐阜県と共同で行った在宅障害児者実態調査で抽出された、大島分類1~4に該当する471 人の県内在宅障害児者を対象として第二次調査を行うこととした。対象の471人について、第二次調査への協力を文書にて依頼したところ、197人から同意を得た。第1回の調査は同意を得られた197人に対して調査票を郵送して平成30年8月から同10月に行い、107人から回答を得た(回答率54.3%)。第2回の調査は第1回の調査で回答を得られた107人に対して同様の調査票を郵送して平成31年1月から同3月まで行い、80名から回答を得た(回答率74.8%)。第3回の調査(最終調査)は第2回の調査で回答を得られた80人を対象に、令和元年9月の調査票郵送を予定している。現在すでに得られた調査票の解析を行っている。今年度は最終的な集計結果の取りまとめを行い、年齢別、および栄養法別に誤嚥・逆流の有無、入院の有無をアウトカムとして検証する。また、調査期間中に新規の医療的ケアが導入されたり、重篤な有害事象が生じたケースについても解析を行う。得られた知見については医療従事者のみでなく、介護者、事業所、療育機関を対象とした講演、研究会での報告を行うとともに、論文化して発表する予定である。
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