研究課題/領域番号 |
16K19250
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
鳥居 さゆ希 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (30773973)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 疫学 / 地域一般住民 / 動脈硬化 / 潜在性甲状腺機能障害 |
研究実績の概要 |
本研究は、滋賀県草津市から無作為に抽出された地域一般住民男性(40~79歳)の前向きコホート研究 滋賀動脈硬化疫学研究SESSAの2006~2008年の初回調査対象者の保存血清検体を用いて甲状腺ホルモンTSH・FT4・FT3を測定し、潜在性甲状腺機能障害の有病率、潜在性甲状腺機能障害と古典的リスク要因や生活習慣等心血管疾患リスク要因、各動脈硬化指標との関連について検討を行うものである。今年度は、潜在性甲状腺機能障害の有病率について、以下の解析を行った。 初回調査の対象者のうちデータが有効な1,090名(平均年齢64.1±9.9歳)について、解析検討を行った[今回の測定系における基準値(FALCO) TSH:0.54~4.54μIU/mL、FT4:0.97~1.72ng/mL、FT3:2.1~4.2pg/mL]。 対象者全体でTSHの最大値は111.90μIU/mL、最小値は0.118μIU/mLであった。TSHが基準値を上回るもののFT4は基準範囲内であるものを潜在性甲状腺機能低下、TSHが基準値を下回るもののFT4は基準範囲内であるものを潜在性甲状腺機能亢進と定義したところ、1,090名のうち大多数の922名(全体の84.6%、平均年齢63.4±10.1歳)において甲状腺機能は正常であり、潜在性甲状腺機能低下がある者は104名(有病率9.5%、平均年齢68.3±7.0歳)、潜在性甲状腺機能亢進がある者は17名(有病率1.6%、平均年齢64.0±12.1歳)であった。また、潜在性甲状腺機能低下について、年齢階級別の有病率は40代で0.79%、50代で6.09%、60代で10.77%、70代13.22%と年齢が上がるほど増加していた。 次年度は、潜在性甲状腺機能障害と古典的リスク要因や生活習慣等の心血管疾患リスク要因・各動脈硬化指標との関連について解析を行う予定とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
地域一般住民における潜在性甲状腺機能障害および甲状腺機能障害の有病率等の記述疫学についての統計解析を進めることができた。今年度のデータ解析計画のうち潜在性甲状腺機能障害と各種動脈硬化との関連についての解析を次年度も継続して行い、学会での研究成果発表・論文執筆を行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
1)さらなるデータの解析 これまでで得られ入力を完了したデータを用いて、以下の項目につき継続して解析を行う。(1. 地域一般住民における、潜在性甲状腺機能障害の有病率→→終了、) 2. 潜在性甲状腺機能障害と古典的リスク要因、リポ蛋白粒子数など新規バイオマーカー、生活習慣、社会的要因などの心血管疾患リスク要因との関連。3. 潜在性甲状腺機能障害と24 時間ホルター心電図で評価した心房細動などの不整脈との関連。4. 潜在性甲状腺機能障害と胸腹部CT で定量的に評価した腹部内臓脂肪、心周囲脂肪などの異所性脂肪との関連。5. 潜在性甲状腺機能障害と、冠動脈および大動脈石灰化、頸動脈内中膜肥厚およびプラーク、ABI・PWV、そしてラクナ梗塞・微小出血・白質病変などの無症候性脳血管障害などの各潜在性動脈硬化指標との関連。 2)研究成果の報告 解析結果をもとに、漸次研究成果を国内および国際学会にて発表する。また、併せて論文を執筆・投稿し研究成果を公表していく。これらを通じて、潜在性甲状腺機能障害という新しい視点から、動脈硬化および心血管疾患予防のために有益な資料を提供する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:次年度に亘って、データ解析の継続と研究成果の発表・論文執筆等を行う必要があるため。 使用計画:データを詳細に解析するための専用コンピューターの購入、研究成果の発表するための学会参加費・旅費や、論文執筆に際し英文校正料、論文投稿にかかる費用等に充てることを予定している。
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