研究課題
今年度は、滋賀県草津市から無作為に抽出された地域一般住民男性(40~79歳)の前向きコホート研究 滋賀動脈硬化疫学研究SESSAの2006~2008年の初回調査対象者の保存血清検体を用いて測定した甲状腺ホルモンTSH・FT4値の結果から、調査対象者のうちデータが有効な1,090名について潜在性甲状腺機能障害と各動脈硬化指標との関連について解析を行った(今回の測定系における基準値、各群の定義については昨年度報告書を参照)。潜在性甲状腺機能低下および亢進のある者の各群についてそれぞれ甲状腺機能正常群をreferenceとした各動脈硬化指標-冠動脈石灰化、大動脈石灰化、頸動脈プラーク、ABI値の低下、および脳MRI検査におけるラクナ梗塞、微小出血、白質病変(深部白質病変、脳室周囲白質病変)、脳動脈狭窄、脳動脈瘤-が陽性となるリスクのオッズ比を、多重ロジスティック回帰分析を用いて解析した〔調整項目:年齢、BMI、LDLコレステロール値(Friedewald式による計算値)、飲酒習慣、喫煙習慣、運動習慣、高血圧および糖尿病の有無、CT種別(冠動脈石灰化、大動脈石灰化のみ)〕ところ、甲状腺機能正常群をreferenceとした潜在性甲状腺機能低下のある群の頸動脈プラークが陽性となるリスクのcrudeオッズ比は1.80(95%信頼区間:1.02~3.17、P=0.04)と有意に高値であったが、年齢調整後のオッズ比は1.15(95%信頼区間:0.63~2.07、P=0.65)、上記すべての項目で調整したオッズ比は、1.16(95%信頼区間:0.64~2.13、P=0.63)と高値ではあるものの有意な関連ではなくなった。また、それ以外の指標については有意な関連を認めなかった。なお、潜在性甲状腺機能亢進のある群ではすべての指標について有意な関連を認めなかった。潜在性甲状腺機能低下の頸動脈プラーク陽性との関連の可能性については、さらなる検討を行いたい。
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