(1)多次元・多時点ヘルスデータベースの構築:全国規模の大型国保組合である全国土木建築国民健康保険組合(全国土木)と共同研究を行い、医療レセプト、特定健診データを基に大規模ヘルスデータベースを構築した。保健事業と研究の連携を進めるために、事業用データシステム上に匿名化IDの付与アルゴリズムを設計した。保健指導を行うSOMPOヘルスサポートとの共同研究も開始し、テキストデータとして記録された指導サマリーも分析対象とした。以上によって、健診(予防)から、保健指導(保健指導)、医療介入までを一気通貫で分析可能な多時元・多時点ヘルスデータベースを構築した。 (2)ベイジアンネットワークの構築:高血圧、高血糖、慢性腎臓病のモデル疾患において、健診(予防)と医療介入の経時的な関係性をベイジアンネットワークでモデル化した。 (3)介入効果の検証:慢性腎臓病において、健診データと医療レセプトから未受診患者を抽出し、通知による受診勧奨介入を行うプログラムを開発し、pragmatic trialを開始した。 (4)生活習慣病重症化予防に関するエビデンス構築:リスク因子の分析(肥満、生活習慣、医療介入)を進めた。 (5)フィールドの拡張と国際連携:得られた知見から、複数自治体との共同研究へ展開を進めた。自治体の国保被保険者を対象とすることで65歳以降の世代を含んだデータで分析が可能となった。また、介護保険データ、自治体が保有する固有データとの連携も進めている。また、University of MichiganとNon Communicable Disease(NCD)重症化予防に関する国際共同研究にて、日本、米国のNCD重症化リスクの違いをデータから明らかにし、各国から得られた知見を議論するためのThe World NCD Congressを2020年8月(Ann Arbor)に企画している。
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