2歳未満の頭部CTで急性硬膜下血腫と診断され、眼底所見が得られた症例を収集した。しかしながら非常に限定的な症例の収集であり、十分な症例数が得られなかった。 具体的には、受傷の状況などの詳細な情報が得られ、かつ頭部CTで硬膜下血腫と診断でき、眼底所見が得られた症例は2例しか得られなかった。当初の目標は50症例の集積を目指していたが、症例の集積は得られず、データ解析や学会等での発表にも至らなかった。 2症例については、いずれも1歳で明確かつ家族以外の第三者の目撃者のある転倒による頭部打撲で、虐待の可能性が完全に否定できる症例であった。頭部CTでは急性硬膜下血腫の所見があるものの手術加療は必要としない少量の出血であった。眼底所見ではいずれの症例でも眼底出血は認めなかった。ただし、2症例しか集積できていないため、虐待ではない転倒では眼底出血を生じないという根拠にはならなかった。2歳以上の症例については虐待と確実に判断できた硬膜下血腫を生じた症例を経験するも、本研究へのentryはできず、受傷機転もいわゆる「揺さぶられっ子症候群」ではなく、殴打等の暴行によるもので、眼底出血は認められなかった。 アンケートについてもこのように症例の集積が非常に滞り、2歳未満の虐待による硬膜下血腫は集積できなかったことから、このような症例の患者・家族・受診医療機関が抱える問題点を浮き彫りにすることはできず、作成したアンケートの根拠となるデータが得られず、アンケートのブラッシュアップが困難であったため、実施できなかった。
|