本研究の特色は、児童虐待のなかでも「硬膜下血腫」という致命的結果を引き起こす可能性のある病態に着目し、主に家庭という密室において行われる「虐待」という痛ましい事例と軽微な「事故」による頭部外傷を鑑別するシステムを構築するという点にある。 本研究においては、対象とした2歳未満の硬膜下血腫と診断された患者が、鑑別に有用な要素を抽出するに十分といえるほど集積できなかった。しかし、「虐待」と「事故」の鑑別は医学的側面のみならず社会的問題として極めて重要な問題であり、何らかの鑑別システムの構築は必須であると考えられる。
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