研究実績の概要 |
・本研究において福島第1原子力発電所事故後の原子力災害における避難区域内の自殺死亡率の動向を明らかにすることを目的とした。 ・前年度行った、人口動態調査データを基にした、避難区域内の自殺死亡率の分析について、最終年度として分析結果の考察を深め、成果発表にを関連する学会(福島県保健衛生学会(一般演題)、日本公衆衛生学会(シンポジウム))で報告し、かつ成果をまとめた論文を国際自殺予防学会であるCrisisに投稿し、受理・掲載された(Orui M, et al. Suicide rates in evacuation areas after the Fukushima Daiichi nuclear disaster: A five-year follow-up study in Fukushima Prefecture. Crisis.2018)。 ・また、すでに避難指示が解除された市町村および市町村の一部で避難指示が出されている地域での自殺死亡率の上昇が認められ結果を得たが、特に高齢者と働き盛り世代での自殺死亡率の上昇が見込まれたことから、2018年3月末に避難指示が解除された地域を対象に、自殺対策について、検討を行った。その結果、地元の保健師との検討の受けで、住民健診時でのうつ・不眠などのスクリーニング(およびその後の訪問)や、ゲートキーパー養成講座を実施した。 ・今後は、2018年3月末に避難指示が解除された市町村が比較的多く、避難区域内の自殺死亡率の上昇が懸念されることから、引き続き同地域内での自殺死亡率のモニタリング等を行っていくとともに、今回の研究で関係が構築できた地域において引き続き自殺対策を行っていく方向である。
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