研究課題
双極性障害は寛解状態、躁状態、うつ状態を反復する疾患である。双極性障害は躁状態での気分の高揚、誇大性、意欲亢進等に伴う問題行動により、離婚、失業、借金、人間関係の破綻など多様な社会的問題を抱え、一方でうつ状態では抑うつ気分、意欲低下や認知機能障害により長期に日常生活や就労が困難となるなど、社会的機能の障害が極めて著しい。双極性障害患者の自殺既遂率は一般人口に比べて高く、また自殺企図率はうつ病患者に比べて高いと報告されおり、生命予後という点でも重大な疾患である。 双極性障害患者は約半分を寛解状態で経過するが、その他の病相期には約7割~9割がうつ状態で経過し、また、自殺企図はうつ状態で起こりやすい。よって寛解状態からうつ状態へ病相が交代することを予測し、早期介入ができれば自殺企図、自殺既遂、労働力や生産性の低下を防ぐことができる可能性がある。本研究では、血漿メタボローム解析を用いて双極性障害の寛解状態からうつ状態に病相が交代することを予測できるうる、双極性障害患者の病相交代予測バイオマーカーを探索し、開発することが目的である。今年度、同一のBD患者から得られたうつ状態、寛解状態の10セットの検体、年齢と性別をマッチさせた健常群の10検体の、計30検体においてメタボローム解析を行った。State markerとなりうる代謝産物、希死念慮と関連する可能性のある代謝産物などを探索し、現在、データを解析、検討中である。
2: おおむね順調に進展している
現在、当院に通院治療継続中の21名の双極性障害患者から研究への同意、検体を得ることができている。そのうち、10セットの寛解状態、うつ状態をペアで得ることができた。
メタボローム解析の結果から、State markerとなりうる代謝産物、希死念慮と関連する可能性のある代謝産物などを探索していく。結果に基づき、学会発表、論文投稿を行っていく。
メタボローム解析費用、英文校正、論文投稿に関する費用が生ずるため。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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