平成28年より参加者より児の便写真をメールで回収し、胆道閉鎖症の特徴の1つである灰白色便について判定を行った。すでに便色カラーカードが母子手帳に配布されていること、メールを用いることで手技が簡便で費用対効果において有効であることが示唆された。 参加者数に応じて判定にあたり一定の専門分野の経験を有する医師が必要であるが、電子媒体を用いることは記録保持に有意であり、時系列での比較や複数医師または母との客観的な判断に有用であることが示唆された。参加者の募集においては当初より少なかったが、参加募集から通知までの一連の流れの中で、人為的な作業をシステム化することにより、健常児を含めを多くの項目を診察しなければならない健診においても一助になると考えられた。 現行の便色カラーカードより色調が客観的に判定できるが、影や照明など撮影環境による影響により本来の直視下での色調と差異が生じることが示唆されるものもみられた。またカラーカードの4番を呈し、見逃し例として重症化した本症例が散見するように、現状においては便色のみでは診断に不十分であると考えられた。 本疾患の病態、発症課程は不明な点が多く、生後の便色変化も一定ではないことを踏まえ、さらなる蓄積を要すること、また他の臨床所見を鑑みて慎重に診断する必要性が考えられた。希少疾患であることより、期間中に参加者において疾患のあるものはみられなかった。得られた知見を小児外科学会で発表した。
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