感染症発生動向調査(NESID)の全数把握対象疾患(87疾患)の届出データの可視化・分析システムの設計、開発、及び改良を行った。本システムは、①リアルタイム発生(報告)状況把握と異常検知、②週報集計時点の報告数と今後の動向予測、③過去の発生動向データとその関連情報が参照できる感染症情報ライブラリの機能を備えたシステムとして開発を進めている。①では、各疾患のサーベイランスデータを疫学3要素である時・人・場所の観点からデータを容易に把握できるように工夫した。具体的には、メイン画面として表示される流行曲線上で、ユーザが選択した任意の期間における、年齢・性別・感染地域・感染経路の分布(円グラフ)、及び地理分布(色分け日本地図)が表示されるシステムとした。また、該当する期間の報告症例のラインリストの出力、症例ごとの報告内容サマリーの表示、より詳細な解析のためのCSVデータダウンロード機能を付加した。②では、感染症発生動向調査週報(IDWR)の報告数データをグラフ化し、過去の平均的な増加率に基づいた年間累積報告数の見積値を確認できるようにした。また、過去のIDWRに掲載された情報を整理し、過去の同時期の週報コメントを参照できるように改良した。③では、現行のNESID電子システムが開始された2006年4月以降のデータについて、報告数のデータと感染症サーベイランスやその周辺制度に関連する様々な情報を紐づけて表示する機能を実装した。関連情報としてデータ(報告数の増減等)に影響を与える種々の情報を参照可能とすることで、サーベイランスデータのより適切な解釈の一助になる。関連情報として厚生労働省通知、IDWR及び病原微生物検出情報(IASR)の整理を一部の疾患において実施した。
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