研究課題/領域番号 |
16K19266
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研究機関 | 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病 |
研究代表者 |
羽山 実奈 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病, その他部局等, 医長 (10731549)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 2型糖尿病 / 血糖変動 / 遺伝要因 / ライフスタイル / 疫学研究 |
研究実績の概要 |
日本人の2型糖尿病は、欧米人に比べて、肥満が軽度であり、インスリン分泌の低下が主な原因の一つと考えられている。しかしながら、国内外を含めて非肥満の一般住民を対象とした血糖変動パターンについて、遺伝要因やライフスタイル(食行動、飲酒、喫煙、運動、睡眠等)との関連を詳細に検討した疫学研究は見当たらない。本研究では、非肥満住民を対象に、平均血糖値の指標であるヘモグロビンA1c(HbA1c)の経年的推移の区分別に、遺伝子解析及び持続血糖測定を行い、血糖変動と遺伝要因やライフスタイルとの関連を分析することによって、より個別性の高い非肥満糖尿病の予防に関するエビデンスを得ることを目的としている。 平成28年度は、研究対象者の抽出、遺伝子解析の一部実施、持続血糖検査の一部実施を行った。研究の対象者は、平成19~23年及び平成24~28年に循環器健診を受診した大阪地域住民である。日本人に多い糖尿病の発症要因を明らかにするために、肥満のない一般住民に焦点を絞り、HbA1cが上昇傾向にある群とそれ以外の不変・低下群に区分した。本研究の対象地域は、30年以上に亘り継続的に精度管理を行っており、HbA1cレベルの長期的な推移の評価が可能である。遺伝子解析は、膵β細胞の機能低下に関与する遺伝子多型の解析を開始した。KCNQ1遺伝子内の一塩基多型は、日本人を含むアジア人の糖尿病発症と関連することが報告されている。CDKN2A/B、CDKAL1は、膵β細胞機能低下の関与が報告されている。糖尿病関連遺伝子を有する場合でも、生活習慣等をコントロールすることによってリスク低減ができる可能性が報告されていることから、遺伝子解析と持続血糖検査を組み合わせて実施し、その関連を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象者の抽出、HbA1cレベルの経年的推移の層化、対象者のDNA抽出を予定通り実施した。これまで、国内外で報告された日本人集団を含む東アジア人における糖尿病感受性候補領域のうち、危険対立遺伝子の頻度が40%以上で、膵β細胞機能との関連が示唆されているKCNQ1遺伝子(rs2237892)、CDKAL1遺伝子(rs4712523)、CDKN2A/B遺伝子(rs2383208)のSNP解析を200検体実施した。シーケンサーは、イルミナ社MiSeqを用い、得られたリードの構成から各変異を解析した。持続血糖検査は、検査不同意である13人を除き、実施案内の送付及び一部検査を実施した。 持続血糖検査の実施に時間を要しているが、遺伝子解析の準備を速やかに実施できたため、研究全体ではおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
持続血糖検査は、専用の測定器を24時間装着して計測する。測定期間中の食事、飲酒、喫煙、身体活動、睡眠時間等の生活習慣は、問診、記録票を用いて調査するため、検査実施に時間を要する。研究計画では平成28年度から平成29年度にかけて、持続血糖検査の実施を完了する計画であったが、平成30年度にかけて実施する。 遺伝子解析は、平成28年度に、DNA抽出及び解析準備を速やかに行うことができた。遺伝子解析の一部も開始できたため、平成29年度には、残りの遺伝子解析を完了し、分析を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画では、サンガーシーケンス法を用いた遺伝子解析を検討していたが、次世代シーケンサーを用いたターゲットリシーケンスの手法論を適用することで、使用額の修正が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度に200検体分の遺伝子解析を完了しており、次年度は残りの200検体分の遺伝子解析に使用する。
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