研究課題/領域番号 |
16K19271
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
林 由美 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (30632707)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 妊娠期低栄養 / 低体温児 / 制限食 |
研究実績の概要 |
近年、攻撃的であったり、疲れやすく動きが緩慢などの症状が見られる子供が目立ち、そのような子供には共通して「低体温」が観察されることが指摘されている。体温維持に必要な熱産生器官である褐色脂肪組織や筋肉の発育・状態が妊娠期母親の低栄養と関連することが示唆されている。そこで本研究ではマウスを用いた実験により妊娠期低栄養環境に曝露された子供の体温維持機構や、免疫系、行動、エネルギー代謝について離乳期から若年期にかけて観察し、妊娠期の母体の低栄養と低体温児発症の相関を明らかにすることを目的とした。 【方法】10-12週齢の雌雄のマウスを交配させ、プラグにより妊娠を確認した。対照群は妊娠期間中に通常食を自由摂取させ、摂餌量を毎日測定した。制限食群では①妊娠0日目から18日目に対照群の摂餌量の50%相当の飼料を与える群、②同期間に70%相当の飼料を与える群、③妊娠7日目から17日目まで通常食の70%程度のタンパクを含有する固形試料を対照群と等量与える群とし、制限後は通常食を自由摂取させた。生後0日目に子の体重を測定し、生後21日目に離乳させた。体重、直腸温、運動量、攻撃性を生後21日目から8週齢まで1週間ごとに観察した。生後9週齢に解剖を行い、血液、肝臓、脳、腎臓、脂肪、筋肉を採取した。 【結果】対照群のマウスにおいては、各項目について測定を行い、サンプルを採取した。一方、妊娠期制限食群では①から③のどの条件においても妊娠が成立せず、1匹も出産しなかった。現在、制限を行う期間や制限率、制限する栄養素、実験に用いるマウスの系統について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
複数の文献において、妊娠中の摂食制限では生まれてくる子供は低体重児となるが、出生数は対照群と同程度であることが報告されており、本研究ではこれらの方法を参考に実験を行ってきたが、実際は制限食群では1匹も出産しなかった。現在、制限食群のサンプリング方法(制限期間、制限率、制限する栄養素、実験に用いるマウスの系統等)について検討を行っている。対照群については、児の体温、運動量、攻撃性試験を実施し、解剖による試料採取も概ね完了した。 また、メタボローム解析については現在、条件検討を行っており、サンプリング終了後、解析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
制限食群で妊娠が成立しなかったことから、制限を行う期間や制限率、制限する栄養素、実験に用いるマウスの系統等について検討を行う。条件決定後、対照群と同様に体温、運動量、攻撃性試験を実施し、各種臓器を採取する。 サンプリング終了後、熱産生器官である筋肉や褐色脂肪のメタボローム解析を行い、妊娠期低栄養と子供の体温との関連、体温維持機構への影響やエネルギー代謝への影響について解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
妊娠期摂食制限においてすべてのマウスで妊娠が成立せず、1匹も出産しなかたことから、体温維持機構等に関する解析が遅れているため。
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次年度使用額の使用計画 |
サンプル採取後に実施するメタボローム解析に必要な消耗品類の購入費に使用する
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