研究課題
近年、攻撃的であったり、疲れやすく動きが緩慢等の症状が見られる子供が目立ち、そのような子供には共通して「低体温」が観察されることが指摘されている。これまでに、体温維持に必要な筋肉等の発育・状態が妊娠期母親の低栄養と関連することが示唆されている。そこで本研究では、マウスを用いた実験により、妊娠期の低栄養環境に曝露された子供の体温維持機構や、行動、エネルギー代謝について観察し、妊娠期の母体の低栄養と低体温児発症の相関を明らかとすることを目的とした。まず、エネルギー代謝能を評価するために、筋肉中のメタボローム解析の条件検討を行った。エネルギー代謝異常を引き起こすことが知られているモデル動物の筋肉を用いて、ガスクロマトグラフィータンデム質量分析(GC/MS/MS)によるメタボローム解析を行った。得られた結果を用いて多変量解析を行ったところ、エネルギー代謝の変動を捕捉することが可能であった。また、新規イオン化法である探針エレクトロスプレーイオン化法(PESI)は前処理操作が不要であることから、メタボロームの直接分析手法の構築を行った。その結果、マウスの肝臓や脳内のメタボロームを前処理操作することなく直接分析することに成功した。従って、これらの手法はエネルギー代謝能を評価する有用な方法であることが示された。次に、妊娠期低栄養による低体温モデルマウスの作成を試みた。マウスの系統やエネルギー制限の比率、制限期間等の検討を行った。制限期間を妊娠7日目から17日目、および妊娠0日目から18日目で検討を行ったが、どのマウスも出産しなかった。129/svマウスの妊娠12日目から18日目まで50%制限食を与えたところ、無事に出産することが出来たが、離乳時の体温は、コントロール群と同程度であった。従って、引き続き低体温モデルマウスの作成方法を検討し、上記の手法を用いて解析を行っていく予定である。
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