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2016 年度 実施状況報告書

PM2.5成分の複合曝露が生体・免疫応答の始動細胞とそのネットワークに及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 16K19272
研究機関京都大学

研究代表者

本田 晶子  京都大学, 工学研究科, 助教 (20454324)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードPM2.5成分 / 複合影響 / 気管支喘息
研究実績の概要

本研究計画では、微小粒子状物質(PM2.5)成分の複合曝露が、生体・免疫応答の始動細胞とそのネットワークに及ぼす影響を検討した。PM2.5成分やその複合曝露による気管支喘息増悪機構を解明し、疾患増悪寄与成分及びその組み合わせを同定することを目的とした。本年度は、PM2.5成分である多環芳香族炭化水素(PAH)と金属を、呼吸器との最初の接点である気道上皮細胞に曝露し、サイトカイン産生、細胞生存能に及ぼす影響等を検討した。PAHとして、9, 10-フェナントレンキノン(9, 10-PQ)あるいは、9, 10-PQの基本骨格であるフェナントレン(Phe)を用いた。その結果、Controlと比較すると、金属単独曝露および9, 10-PQ単独曝露、金属と9, 10-PQの複合曝露において、催炎症性反応の増加が認められた。金属単独曝露と比較すると、金属と9, 10-PQの複合曝露は、相加的な催炎症性反応の増悪を示した。一方、金属とPheとの複合曝露では、金属単独影響と同様の催炎症性反応を示した。細胞生存能に対しては、Controlと比較すると、金属単独曝露、9, 10-PQ単独曝露、金属と9, 10-PQの複合曝露において、細胞生存能の増加が認められた。金属単独曝露と比較すると、金属と9, 10-PQの複合曝露は、相加的な細胞生存能の増加を示した。一方、金属とPheとの複合曝露では、金属単独影響と同様の結果を示した。従って、キノン誘導体である9, 10-PQとある種の金属の曝露は、気道上皮細胞に対する催炎症性反応を介して、複合影響を示し、呼吸器疾患の増悪に関与しうることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、「PM2.5成分やその複合曝露による気管支喘息増悪機構を解明し、疾患増悪寄与成分及びその組み合わせを同定すること」を目的としている。抗原提示細胞に及ぼす影響については、現在、検討中ではあるものの、研究実施計画に沿って進めている。当該年度までに、PAHと金属成分による相加・相乗的な複合影響の存在を明らかにすることができ、おおむね順調に進展していると、自己点検、評価した。

今後の研究の推進方策

今後も、昨年に引き続き、PM2.5成分やその複合曝露による気管支喘息増悪機構を解明し、疾患増悪寄与成分及びその組み合わせを同定することを予定している。気道上皮細胞あるいは、抗原提示細胞に影響を及ぼしたPM2.5成分の組み合わせに絞り込み、これら細胞間ネットワークに及ぼす影響を検討する。

次年度使用額が生じた理由

おおむね順調に進んでいるが、一部の検討において未解析となったサンプルがあったため。

次年度使用額の使用計画

未解析となったサンプルの評価を行う。

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公開日: 2018-01-16  

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