研究実績の概要 |
元素状炭素粒子と有機炭化水素化合物、金属等の複合曝露が抗原提示細胞に及ぼす影響を検討した。PM2.5のCoreとして、元素状炭素粒子(カーボンブラック:CB)、有機炭化水素化合物として、9,10-Phenanthrenequinone(9,10-PQ)、金属として、カドミウム(Cd)を用いた。DEC205の発現を調べたところ、CB非存在下では、Controlと比較すると、全ての曝露において、陽性細胞率の増加に有意な差は認められなかった。一方、CB存在下では、Controlと比較すると、Cd単独曝露、Cdと9,10-PQの複合曝露において、陽性細胞率の増加が認められた。Cd単独曝露およびCdと9,10-PQの複合曝露を比較したところ、陽性細胞率に有意な差は認められなかった。また、CB非存在下と存在下の間を比較すると、Cd単独曝露において、CBにより、陽性細胞率の増加を示した。IL-6の産生量を調べたところ、CB非存在下では、Controlと比較すると、Cd単独曝露およびCdと9,10-PQの複合曝露において、IL-6産生量の増加が認められた。Cd単独曝露およびCdと9,10-PQの複合曝露を比較したところ、IL-6産生量に有意な差は認められなかった。一方、CB存在下では、Controlと比較すると、全ての曝露において、IL-6産生量に有意な差は認められなかった。また、CB非存在下と存在下の間を比較すると、有意な差は認められなかった。以上より、Cd単独曝露では、IL-6の上昇を、CdとCBとの複合曝露では、DEC205発現を誘導した。PM2.5成分である金属や粒子は、抗原提示細胞に対して単独あるいは複合的に影響を示し、呼吸器疾患の悪化に関与しうることを見出した。
|