研究実績の概要 |
近年、海外の先行研究で職場におけるincivility(非尊重度)が従業員の精神的健康に影響を及ぼすことが明らかになりつつあるが、わが国では、これらの要因による従業員への健康影響や労働生産性・医療安全についての検討は皆無である。そこで本研究では、医療機関の職員を対象に、incivilityを含む職場の心理社会的要因と、精神的健康、そして国際的にもまだ明らかにされていない身体的健康(特に循環器疾患の危険因子)、および医療安全・作業安全との関連を調べる前向きコホート研究を実施することにより、医療職における精神的及び身体的不調の未然防止と、職場の安全構築に貢献することを目的として実施するものである。 初年度である平成28年度は、関西地方の総合病院を持つ機関へ研究説明を行い、調査実施の同意を得た。平成29年1月の調査開始時に説明文書・記式質問紙を配布し、対象者から記入済みの調査票回収を持って研究参加の同意を得た。自記式質問紙を機密文書保管ボックスお呼び料金受取人払郵便にて回収し、最終的に1,481名から回答を得た(回答率6割)。健康診断データより身体・血圧測定、血液・尿測定の結果を取得し、ベースライン調査は終了とした。 調査終了後、自記式質問紙によって得られた回答内容を外部委託して電子化し、データセットを作成した。抑うつ症状得点が高かった参加者の中で、事前に連絡を希望した人には個別にフィードバックを行った。今後、集団での解析結果について調査施設に報告する予定である。
|