研究実績の概要 |
近年、海外の先行研究で職場におけるインシビリティ(非尊重度)が従業員の精神的健康に影響を及ぼすことが明らかになりつつあるが、わが国ではこれらの要因による従業員への健康影響や労働生産性・医療安全についての検討は皆無である。そこで本研究では、医療機関の職員を対象に、インシビリティを含む職場の心理社会的要因と、精神的健康、そして国際的にもまだ明らかにされていない身体的健康(特に循環器疾患の危険因子)、および医療安全・作業安全との関連を調べる前向きコホート研究を実施することにより、医療職における精神的及び身体的不調の未然防止と、職場の安全構築に貢献することを目的とするものである。 最終年度である本年は、年初に実施した質問紙調査のアウトカム指標として定期健康診断データより身長、体重、腹囲、血圧、血糖値、HbA1c、LDL、HDL、中性脂肪等の身体健康情報を取得し、連結データセットの作成を行った。最終年度も質問紙調査の実施を予定していたが、代表者が産休に入ったため実施を断念し、これまで得られた1年間のコホート調査(2時点での質問紙調査、3時点での身体指標に関するアウトカムデータ取得)をもって研究を終了することとした。 本研究課題に関し、職場のインシビリティと身体愁訴との関連について国際学会(The 32nd International Congress on Occupational Health)で、職場のインシビリティと医療事故(インシデント・アクシデント)との関連について国内学会(第91回日本産業衛生学会)で発表した他、職場におけるいじめの存在が従業員の心理的ストレスに関連することを縦断的に明らかにし、国際学会(The 11th International Conference on Workplace Bullying and Harassment)で発表するとともに、論文発表(J Occup Environ Med, 2018)を行った。
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