研究課題/領域番号 |
16K19281
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研究機関 | 埼玉工業大学 |
研究代表者 |
本郷 照久 埼玉工業大学, 工学部, 准教授 (50434303)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リフラクトリーセラミックファイバー / 溶解特性 / 肺内耐久性 / 繊維状物質 |
研究実績の概要 |
リフラクトリーセラミックファイバーの肺内における“耐久性”を解明するためには、その基本的溶解特性を明らかにする必要がある。本年度では、以下の事項に関して検討を行った。(1)各pH値におけるリフラクトリーセラミックファイバーの溶解特性、(2)疑似生態液下におけるリフラクトリーセラミックファイバーの溶解特性。詳細を以下に示す。 (1)各pH値における溶解特性 各pH値に調整した溶液(pH0.2~13.1)に所定量のリフラクトリーセラミックファイバーを入れ、バッチ式の溶解実験を行った。リフラクトリーセラミックファイバーを7日間溶解させたところ、pHが3.0~10.6のとき、リフラクトリーセラミックファイバーの溶解速度は遅く、SiとAlはほとんど溶出しなかった。pHが3.0を下回るとSiとAlの溶出率は増加し、SiよりもAlの方がより多く溶出した。一方、pHが10.6を超えると、SiとAlの溶出率はほぼ同じ値を示し、pHが13.1のときのそれぞれの溶出率はおよそ50%であった。また、pH0.4とpH12.4における、SiとAlの溶出率の経時変化を28日間調べたところ、いずれのpHにおいてもSiとAlは溶出し続けていることが確認された。 (2)疑似生態液下における溶解特性 pHを7.4と4.5に調整した疑似肺胞液(ギャンブル液)に所定量のリフラクトリーセラミックファイバーを入れ、バッチ式の溶解実験を行った。12週間に渡るSiおよびAl溶出率の経時変化を調べたところ、pH7.4に比べてpH4.5のときの方が共に溶出率は高い値を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた検討事項(1:各pH値におけるリフラクトリーセラミックファイバーの溶解特性、2:疑似生態液下におけるリフラクトリーセラミックファイバーの溶解特性)に関しての基本的データを得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に得られたデータを詳細に解析して、今年度に行う実験の条件を決定する。溶解実験に関するより精度の高いデータ得ることにより、溶解反応の速度論的な検討を行う。 また、溶解反応により変質した試料の詳細なキャラクタリゼーションを行うことにより、リフラクトリーセラミックファイバーの変質過程と耐久性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた物品を一部購入しなかったことと、海外での研究発表を行わなかったため、研究費を計画通りに使うことができなかった。 次年度は物品の購入と国内外の学会出張旅費に、研究費を使う予定である。
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