研究課題
若手研究(B)
繊維状物質であるリフラクトリーセラミックファイバー(RCF)は、国際がん研究機関により“吸入により発がん性の可能性がある物質”と位置付けられている。繊維状物質の発がん性には、3つの因子(量、大きさ、耐久性)が大きく関与する。本研究では、その中の一つである耐久性を評価するために、RCFの溶解特性を実験的に検討した。RCFは疑似生体液下においてSiとAlを溶出し続け、その速度論的解析により、RCFは数十年に渡って肺内に滞留することはないと見積もられた。
無機材料化学
石綿の代替材料として広く利用されているRCFの毒性・安全性に関する研究は行われているものの、潜伏期間が長いために、それらを評価するための十分な疫学的データがない。人に対する毒性を評価するためには疫学的研究が優先されるが、十分なデータがない場合には、in vivo試験が重要な役割を担う。本研究によりRCFの肺内滞留性が明らかになったことで、その毒性解明に必要な基礎的知見を得られたものと考えられる。