本研究の目的は、兵庫県養父市で2014年度より実施している「シルバー人材センターの会員が仕事として各行政区に出張しフレイル予防教室を運営する」というフレイル予防施策(養父モデル)の有効性を評価し、他地域への応用可能性を検討することであった。 最終年度となる今年度は、ポピュレーションアプローチの評価モデルとして提案されているPAIREMの枠組みに沿って、昨年度までに収集したデータを基に詳細な評価・分析を行った。その結果、3年間で154行政区中36地区(23.4%)が教室を開設したこと、教室参加率は32.8%(市全体でみると8.1%、参加者数719人)であったこと、シルバー人材センターが一定期間教室を運営した後は、全ての地区が地区住民による自主運営化に成功し、96.2%の地区で週1回の活動が継続されたことが確認された。さらに、非参加群では2012年から5年間でフレイルの有病率が13.7%増加したのに対し参加群では6.8%と、教室参加ではフレイルの有病率の増加が抑制されたことが確認された。 本研究により、フレイル予防教室を行政区毎に設置するという地域ぐるみの取り組みにより、参加者のフレイルの有病リスクが低減することが明らかになった。また、教室は各地に広がり、参加率や継続率が高かったことから、養父モデルは有効かつ他地域への応用可能性の高いモデルであることが示唆された。
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