研究課題/領域番号 |
16K19284
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
新城 大輔 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, その他, 情報解析室長 (10707285)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地域医療 / 医療資源 / DPCデータ / 双極性障害 / 再入院 |
研究実績の概要 |
平成29年度においては、まず、病床機能報告制度データのデータ精査を実施した。本研究の仮説検討を進めるために必要な情報について、外れ値となる項目がしばしばあり、残念ながら利用が難しいということが判明した。そのため、当初想定していた病床機能報告のデータではなく、公的統計情報(E-STATに基づく)により解析を進める方針を決定した。 解析用のデータベースのデータ項目を精査・一部追加したうえで、研究仮説の検討を進めた。具体内容の一つとして、急性心筋梗塞の患者群を対象にデータベースの整備を行い、解析を進めた。全てのAMI患者を対象とした暫定解析結果では、地域医療資源要因は退院後30日以内の計画外債入院とは有意に関連していないことが確認できた。来年度は診療行為等を考慮したうえで、患者背景や病院因子を考慮した患者リスク調整後の退院後30日以内の再入院の要因を解析することとしたい。 また、精神科領域の疾患の一つである双極性障害(Bipolar Disorder)の患者において分析を実施した。短期的なアウトカムとして退院後30日以内の計画外再入院を設定し、患者特性、病院特性、地域医療資源(この分析の場合では地域の人口あたり精神科医数等)を説明変数としたロジスティック回帰分析を実施した。詳細は割愛するが、人口あたり地域精神科医師数が多いことは、退院後30日以内の計画外再入院リスクの低減と関連していることを明らかにした。本研究結果は執筆が完了し、現在、論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた急性心筋梗塞およびがんについては、進捗が若干遅れている。原因としては、①当初予定していた病院情報(病床機能報告制度)のデータ精査に時間を要したこと、②データ精査の結果、解析対象年度の上記データの信頼性が低いことが明らかとなり、研究計画の修正が必要となったこと(E-STATの公的統計情報をメインで利用することとした)、③上述の変更にともない、研究デザインなどの見直しをおこなったこと、などが挙げられる。 急性心筋梗塞については、診療行為別等の考慮が残るのみであり、成果としては想定していたものが得られると期待する。当初想定していた「がん」に関する研究について、化学療法による繰り返し再入院等のノイズが想定よりも多く、解析が難しいことが判明した。対象疾患を精神科領域に本格的にシフトして引き続き解析を進めることを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
該当年度分の病院情報(病床機能報告制度データ)のデータが粗く、今回の研究目的に十分でないことが分かり、また、当該検証に想定以上の時間を要してしまったため、次の変更を行って研究を進める予定である。 ・E-STAT等からの公的統計情報公開データのみを利用して解析する(当初検討していた公的統計情報の個票データを統計法の目的外申請による取得は、更なる時間を要するため取り止め) ・上記利用データの変更に伴う研究デザインの見直しに時間を要すると考えられるため、病院経営に関するデータの反映の優先順位を下げて、より疾病別のより詳細な分析を優先的に進める予定としている。 ・がんに関するデータについて、ノイズを除外するロジックの検討に時間を要することを考慮し、精神科領域にシフトして解析を進める。 以上の変更により、病院単位の医療資源を考慮した精緻な分析は難しくなるが、地域単位の医療資源を考慮した解析を進めることで、当該研究の仮説検証を進めることが可能であり、研究主旨にそった内容であると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定していたデータの検証作業について、適切な委託先および人材の確保が困難であったため、データ検証を自身で実施することとなった。そのため、人件費・謝金を中心として、当初計画より研究費執行が遅れている状況でありるため、次年度使用額が生じている。 適切な人材の確保が難しい場合、円滑な研究遂行に資するソフトウェアライセンスの導入、不調気味の既存調達解析用PC等の部品交換・更新等に充てる予定である。
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