研究課題/領域番号 |
16K19286
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 さやか 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (70761576)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | セルフケア / 行動変容 |
研究実績の概要 |
慢性疾患管理においては、医師による治療のみでなく患者のセルフケアが重要であり、セルフケアに関する行動変容をもたらすための確立された理論(健康信念モデル、トランスセオレティカルモデル)に基づいた、個々にテイラリングしたフィードバックを継続的に行うことが有効と思われる。本研究では、セルフケアを要する代表的な慢性疾患である末期腎不全を有する患者を対象とし、健康行動の理論に基いた、テイラリングされたフィードバックを半自動的に行う方法を確立し、その効果を検証する。 初年度であるH28年度は、対象とするセルフケアを体重管理と設定し、下記の2点を実施した。 A.健康信念モデルの6つの構成要素の定義と行動変容ステージの定義の確立 透析間体重増加に関しては、先行研究での定義(Ghaddar, Shamseddeen, & Elzein J Ren Nutr 2009, 153-160.)を基盤として設定し、これを半自動的に算出するためのシステム仕様を決定した。 B.健康信念モデルの6つの構成要素と行動変容ステージに基づいた、フィードバック内容の確立 Aで作成した定義をもとに、フィードバックに用いる内容を選定するため、既存の介入方法につき系統的レビューを進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Aのシステム構築について、当初の想定より施設由来データのばらつきが多く、最適な仕様の策定に時間を要している。また、Bの系統的レビューにも時間を要している。対処として、対象とするセルフケア内容を体重管理に絞り、基盤を構築する方針とした。カリウム・リンコントロールについてのセルフケアについては、期間中には対象としないが、今回の基盤、方法を用いることで、効率的に設定できるようになると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、上記Aのシステム実装を完了し、Bのフィードバック内容を作成したのちに、下記のC・Dを実施する。進捗が遅れた場合は、Dの前後比較評価を3か月後のみ行うなど計画の修正を行う。 C.健康信念モデルの6つの構成要素と行動変容ステージの実態 透析用診療データベースプラットフォームを導入している4施設において、A,Bで確立した定義を用いて、健康信念モデルの6つの構成要素と行動変容ステージの実態を調査する。 D.個々にテイラリングしたフィードバックによるアウトカム評価 Cに引き続き、フィードバックを行い、3か月後、6か月後に行動変容ステージの変化、透析間体重増加のコントロールの変化について、前後比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
システム仕様確定、系統的レビューに時間を要したため、初年度に見込んでいたシステム開発、エキスパートパネル・調査に関わる人件費等の支出が予定より少なくなったため、上記の差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の差額については、時期は遅れるが、次年度において、当初の目的通りに支出予定である。
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