研究課題/領域番号 |
16K19291
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
森島 敏隆 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), がん予防情報センター企画調査課, 課長補佐 (10728893)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | がん登録 / DPCデータ / リンケージ / 均てん化 / 医療の質 / 希少がん / 緩和ケア / リスク調整 |
研究実績の概要 |
近年、保健医療介護分野全体を通して、複数のデータの連結(リンケージ)の必要性が論じられている。複数のデータベースの情報を患者個人レベルで突合できれば意味のある情報としてつながる。がん登録も例外ではない。米国ではNational Cancer InstituteがSurveillance Epidemiology and End Results Program(SEER、地域がん登録連合体)とMedicare(高齢者医療保険)のレセプトデータを連結している。本研究では、がん診断10年後の生死不明者が1~2%である大阪府の地域がん登録データとDPCデータ(わが国独自の医事管理データの一種)を連結したデータベースを作成することにした。 2016年度に大阪府内の5病院から過去5~10年間のDPCデータ(様式1と入院・外来EFファイル)の提出に協力いただいて、地域がん登録データと患者個人レベルで連結し、データベースを構築した。 連結データを使って以下のような解析をした。1)がん診療の実態把握、地域/施設間の均てん化の評価と格差に関連する要因の探索、がんサバイバー・緩和ケア・地域連携の議論に資する資料作成、2)がん患者の生存率を地域/施設間で比較できるように、詳細な患者背景(併存症の有無、日常生活動作ADL、喫煙の有無)をもリスク調整したがん患者集団の標準化の手法開発、3)がん治療の内容とがん患者の生存期間の関連を探索するreal-world study。つまり、臨床試験の実施が困難な患者集団(希少がん、高齢者、小児AYA、併存症を持つ患者等)の治療法のエビデンス探索や、各種診療ガイドラインで推奨された治療法の妥当性の検証、4)がん患者の社会的問題の資料作成。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究参加病院の予想以上の協力を得て、データベースの構築が順調に進んでいる。また、データの利用・解析も計画以上のペースで進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
さらに多くの病院に協力を呼び掛けて、データベースのデータ量を拡大する。様々な分野の専門家とのインタラクションの加速を通じ、社会や医療現場に妥当で、かつ学術的にも重要な課題の研究遂行を強化する。国際的な視野も取り入れることによって、わが国のがん医療に内在する問題点を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
管理するデータ量がさほど大きくなかったので、データを管理するためのハードウェア・ソフトウェアともに既存の物品で対処できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
データを管理するためのハードウェア・ソフトウェアともに新規に購入して、管理するデータの増大に備える。 研究成果を発表するための学会参加や論文投稿に伴う支出を増やす。
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