研究課題
法医学的試料から疾患・薬毒物代謝関連遺伝子多型を同定することを最終的な目的として、解剖症例に加え多民族集団について遺伝子多型検査を行った。DNaseIでは非同義置換型61 SNP でQ244Rのみが多様性を示した。このアミノ酸置換型酵素活性は低下しており、Q244RがSLE発症に関与している可能性が考えられた。DNase1L1では非同義置換型21SNPで、V122Iでコーカシア人にのみ遺伝学的多様性が認められた。DNase1L2では非同義置換型64SNPに多様性はなかった。DNase1L3では非同義置換型40SNPで、R206C、W215Gでコーカシア人にのみ遺伝学的多様性がみられた。DNaseIIでは非同義置換型31SNPで、V206Iで韓国人にのみ遺伝学的多様性がみられた。PolyPhen-2を用いてアミノ酸置換による酵素活性への影響を調査し、Polyphen-2は機能消失の推定に有効であることが明らかとなった。HMGA2、LHX3-QSOX2、IGF1遺伝子内6SNPの頻度分布調査を行ったところ、HMGA2内3SNPではアジア人とアフリカ人はコーカシア人と異なる分布、LHX3-QSOX2内SNPではアジア人とコーカシア人はアフリカ人と異なる分布を示した。IGF1内2SNPの1座位では全民族で有意アレルが一致し、1座位ではコーカシア人とアフリカ人はアジア人と異なる分布を示した。HMGA2内2SNPではコーカシア人と日本人において身長、右腎重量、脳重量との有意な関連がみられた。GHRのexon3内SNPで、遺伝子型と身体的特徴の相関関係を調査した結果、心重量、左心室重量、心肥大指数、体表面積、右肺重量および左右腎重量に相関関係が認められた。今後これらの座位について、法医学的試料を用い疾患・薬毒物代謝関連遺伝子多型と死因との因果関係を引き続き解析する予定である。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Leg Med
巻: 25 ページ: 71-74
10.1016/j.legalmed.2017.01.006
PLoS One
巻: 12 ページ: e0175083
10.1371/journal.pone.0175083