• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

サリン誘導体BIMPの作用機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K19296
研究機関広島大学

研究代表者

村田 和大  広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (70758218)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード中毒 / 法医学
研究実績の概要

サリン誘導体BIMPの培養細胞への影響について、最適濃度と時間に関して解析を行い、その結果を得た。ヒト神経芽細胞腫、ヒト網膜色素上皮細胞、ヒト子宮頸がん細胞を用いて影響をマイクロアレイ法及びパスウェイ解析法に調べたところNF-kBのシグナルが有意に上昇していることが示唆された。その結果をもとにいくつかの薬剤を用いてBIMPの細胞死に対する影響をスクリーニングしたところアセチルサリチル酸によってBIMPによる細胞死が阻害されることが確認された。毒性発現の分子メカニズムについて検討したところヒストンH3のユビキチン化が確認された。それに付随してメチル化DNAの現象も確認された。このことはDNAの維持メチル化の機構に異常があることをしさしている。これらの変化はアセチルサリチル酸の添加により阻害された。そのためこの機構が細胞毒性に関与しているのではないかと考えられる。
また、BIMPの添加により細胞接着が強くなることを見出した。細胞接着因子を網羅的に解析することでこの変化の原因を解明していく予定である。
本結果は、サリンや一部の有機リン系農薬中毒で見られる遅発性の細胞毒性に対する予防薬の開発に大いに貢献する結果であると考えられる。特に最近サリン等の使用が疑われる事件が起きており、本研究は社会に大いに貢献できる結果を得ている。現在、アセチルサリチル酸やそのほかの薬剤の結果をもとに特許の申請を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細胞周期に関しては大きな影響が確認できなかったため、他の可能性を模索したところNF-kBの活性化が確認された。さらにアセチルサリチル酸により毒性が阻害されたことは大きな発見だと考えられる。阻害剤を用いて、毒性発現の分子メカニズムについて検討したところヒストンH3のユビキチン化が確認された。それに付随してメチル化DNAの現象も確認された。これらが細胞毒性に関与しているのではないかと考えられる。そのため進歩状況は順調に推移している。さらに今後詳しいメカニズムを解明することで毒性の予防、治療に大いに貢献できる。

今後の研究の推進方策

これまでの解析から、維持メチル化に影響を与えていることが示唆されている。さらに阻害剤によりその影響が阻害されていることから維持メチル化に関連する因子に対しBIMPが寄与していることが推察できる。そのため、維持メチル化に関連する因子について遺伝子の過剰発現や、発現抑制を行うことでその影響を調べていく。
また、ラットを用いてこれまで知られているサリン及びその誘導体であるBIMPのアセチルコリンエステラーゼ阻害作用に対する影響を抑えるためにPAM及びアトロピンを投与するとともに、アセチルサリチル酸を用いてin vivoにおいてもBIMPの遅発性毒性の効果とその予防効果があるのかを検討していく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] The sarin-like organophosphorus agent bis(isopropyl methyl)phosphonate induces ER stress in human astrocytoma cells.2016

    • 著者名/発表者名
      Arima Y, Shiraishi H, Saito A, Yoshimoto K, Namera A, Makita R, Murata K, Imaizumi K, Nagao M.
    • 雑誌名

      The Journal of Toxicological Sciences

      巻: 41 ページ: 617-625

    • DOI

      10.2131/jts.41.617

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi