研究実績の概要 |
免疫染色方法を検討し以下の手順に決定した。厚さ6μmの切片を作製した後、脱パラフィン、親水和、抗原賦活化を行い、自動染色装置ヒストステイナー36Aシステムを用いて染色を実施した。一次抗体の抗リン酸化α-synuclein抗体(pSyn#64, Wako)および抗タウ蛋白抗体(AT8,Innogenetics)はそれぞれ1000倍および200倍希釈し室温で60分間反応させた。二次抗体を30分反応させた後、DABで発色させ、ヘモトキシレンで対比染色を行った。 65歳以上の法医剖検15例の嗅球、前嗅核、梨状葉、嗅内野皮質、扁桃核、海馬について、HE染色、ガリアス染色、各免疫染色(抗リン酸化α-synuclein抗体および抗タウ蛋白抗体)を実施した。染色陽性反応の程度については過去の文献を参考にガリアス染色では0~3の4段階、各免疫染色では0~4の5段階でスコア化を行った。なお、対象15例(男8例、女7例)の平均年齢は78.4歳、死後経過時間は18時間から3日であった。嗅球および前嗅覚についての染色結果を検討したところ、左と右の前嗅核におけるタウスコアに有意な正の相関が認められ、また、左と右の前嗅核におけるα-synucleinスコアにも有意な正の相関が認められた。しかしながら、左嗅球と右嗅球の間における各染色スコアに正の相関は認められなかった。α-synucleinスコアの平均値は嗅球では2.1、前嗅核では0.7であり、有意差があった。また、前嗅核ではタウスコアの平均値(2.0)とα-synucleinスコアの平均値(0.7)の間に有意差が生じていた。認知症における各免疫染色のスコアは認知症でない症例のスコアよりも高い傾向を示した。
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