研究課題/領域番号 |
16K19298
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
深沢 真希 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 特命助教 (20739726)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ダイビング / 減圧障害 / 血管内気泡 / 肺気腫性変化 / 脂肪塞栓 |
研究実績の概要 |
本研究のテーマである、ダイビング剖検診断における血管内気泡、肺の気腫性変化、脂肪塞栓の意義について、これまで所属研究機関において施行してきた実験・研究と、それにより得られたデータの再分析を行い、今後実施する実験系のあり方について検討を行った。減圧障害の重要なリスク因子として、負荷する圧の大きさ(水深)、負荷時間(潜水時間)、減圧速度(浮上速度)、肥満などが指摘されているが、これまでの実験系で、肥満ラットはWister系ラットよりも減圧障害による死亡率が高く、より短い負荷時間でも死亡することが明らかとなっている。その原因として、体脂肪の増加により体内の溶存窒素の量も増加したことが第一に考えられたが、生理学的データの分析からは、肥満に伴う血管障害なども減圧耐性を低める一因となった可能性も考えられた。従って、肥満に加えて高血圧、高脂血症などの生活習慣病モデルマウスや高齢マウスを使用した実験を行うことにより、個人が持つダイビングのリスク因子をより多岐にわたり評価することが可能となり、高齢ダイバーに多いダイビング事故の予防策にも繋がりうるものと期待される。 減圧障害における脂肪塞栓の意義については、麻酔方法を工夫することによりControl群にも脂肪塞栓が生じる要因を取り除き、さらに、脂肪塞栓の肺区域ごとの分布量の差を評価することにより、より詳細な検討が可能となる。これらにより、減圧障害による脂肪塞栓の意義について、より正確に評価することが可能になるものと期待される。 以上のことから、減圧障害におけるリスク因子、ならびにダイビング剖検診断における脂肪塞栓の意義について検討する、新たな実験系にて動物実験を行い、形態学的検討を加えることとし、所属機関である琉球大学の動物実験委員会から実験の承認を得るため、動物実験計画を申請予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のテーマである、ダイビング剖検診断における血管内気泡、肺の気腫性変化、脂肪塞栓の意義については、これまで所属機関において施行してきた実験・研究により一定の知見が得られている。より正確な定量評価の基準を明らかにするため、また更なるリスク因子について検討するために実験例の蓄積が必要であると考えている。脂肪塞栓については、これまで所属機関において施行してきた実験手法を一部改良することにより、減圧障害による脂肪塞栓の意義についてより正確に評価することが可能となるものと期待される。これらのことを立証するための実験系についても作成のめどが立っており、次年度に実験を行えると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ダイビング剖検診断における血管内気泡、肺の気腫性変化、脂肪塞栓の意義について、これまでの実験系、および一部改良した実験系を用いて実験例を蓄積し、データ整理、成果発表の準備に進む。十分な成果が得られなかった場合、実験条件(減圧程度、時間など)を微調整した実験系にて再評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算を有効的に使用するために、年度内に予算額を全額使用するということを行わず、次年度に使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究には実験動物の使用が不可欠であり、新たな実験系の検討のためにはラット購入の必要がある。また、これに付随して各種消耗品(麻酔薬や解剖、組織標本作製のための消耗品)が必要である。
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