研究課題/領域番号 |
16K19312
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
足立 正 鳥取大学, 医学部, 助教 (50555711)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 前頭側頭葉変性症 / 疫学 / 認知症 |
研究実績の概要 |
前頭側頭葉変性症(FTLD)は4大認知症の一つであり、若年性認知症の代表的疾患である。しかし、我が国におけるFTLDの発症危険因子および進行促進因子の研究は皆無である。そこで、本研究では地域住民を基盤としたコホートを、横断的および縦断的に調査することで、FTLDの発症危険因子および進行促進因子を探索し、予防的介入に役立てることを目的とする。1)FTLD患者の抽出:一次調査として、鳥取県および島根県東部における精神科、神経内科が関わる医療機関を対象として一次調査票の送付を行った。予備研究として、平成22年(第1回調査)および平成25年度(第2回調査)に一次調査をすでに開始している。各病型毎の内訳は、FTD14例、SD0例、PNFA1例、FTD-MND2例、FTDP-17 1例であった。さらに、第2回調査時に新規症例登録が全部で29例(FTD15例、SD4例、PNFA8例)あった.合計47例のFTLD患者の状態が現在把握可能である.2)二次調査:発症危険因子としての、発達歴、頭部外傷歴、血管障害の既往の詳細の情報を調査する。臨床症状としてFT発症様式、行動障害、感情・意欲の障害、言語障害、記憶・記銘力障害、神経心理検査、頭部画像所見、現在服用中の薬物、入所施設などを調査する。②訪問調査:同意頂いた患者に対しては、一般的なスクリーニング検査(MMSE、FAB、MoCA-J)に加え、FTLDに特化した神経心理検査、介護負担に対してZarit介護負担尺度などを用いて、認知症が患者および家族にとってどのような状態であるかを調査する。③生体試料による研究:血清中の特異マーカーの探索、髄液中の総タウ、リン酸化タウ、アミロイドβ1-42の測定,認知症関連遺伝子のスクリーニング検査を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アンケート調査の送付、回収が完遂しきれておらず、症例の蓄積が蓄積が不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
FTLD患者の臨床症状、画像所見の変化、経過中の頭部外傷や脳血管障害の有無について調査し2年間の経時的変化を捉える。また、脳神経小児科および精神神経科と連携し、発達障害および学習障害としてfollowされている患者を抽出し、認知機能障害の経時的変化、脳画像の経時的変化を追い、FTLD発症との関連について検討する。 平成29年度には、症例の訪問調査に力を入れる。具体的には、平成28年度の調査で挙がった症例のある施設を訪問して神経学的診察を行い、臨床症状、臨床画像の確認を行う.神経心理検査を含めて詳細な評価が必要な患者については、研究本拠地である鳥取大学医学部附属病院神経内科へ評価入院を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度において、研究遂行が不十分であり物品購入が進まなかったため次年度へ繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
病理学的検体による検索のための、撮影機材、免疫組織化学的検討のための抗体などに当てる。
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