研究課題/領域番号 |
16K19313
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
沖本 民生 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (00733586)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ERCC1 / 個別化医療 / 高齢者肺癌 |
研究実績の概要 |
これまでにERCC1の発現がプラチナ製剤の効果と関連することが多く報告されてきた。われわれはまず、ERCC1の発現が生検で得られる微小検体でも評価可能であることを報告した。これらをもとに、高齢者肺癌治療ににおいてERCC1の発現がプラチナ製剤の効果予測因子となりうるのかを確認する臨床試験を計画した。しかし、非高齢者肺癌治療において、ERCC1の発現がプラチナ製剤の効果予測因子とならないという、これまでの報告を否定する臨床試験の結果が報告された。その原因として、発現解析に用いられた抗ERCC1抗体の特異性の問題・抗体ロット間の差が挙げられたため、我々は高齢者肺癌における臨床試験を中止し、抗ERCC1抗体の特異性を再評価することとした。 <方法> 我々が2013年に染色・評価した組織検体を再度薄切し、同一クローンで別ロットの抗ERCC1抗体で免疫染色を行った。 <結果> 2013年に染色・評価した検体と比較した結果、相関係数ρは0.59(p=0.00006)であった。相関は認めるものの、既報と同様、ロット間で染色性に違いがあることが示唆された。 我々はレトロスペクティブな検討により、ERCC1がプラチナ製剤の効果予測因子になる可能性を報告している。しかし、今回の結果より、ERCC1の染色性が抗体のロットにより変わる可能性が示唆され、継続的に使用することは困難であることが分かった。ERCC1の評価法として、免疫染色以外の方法を検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では臨床試験をすぐに開始する予定であったが、似たデザインの臨床試験で否定的な結果が報告され、計画を変更したため。
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今後の研究の推進方策 |
ERCC1発現を免疫染色を用いて評価することで、肺癌治療においてプラチナ製剤の効果を予測できる可能性がある。しかし、ロットごとに染色性が変化している可能性があり、継続して使用することは困難である。ERCC1の評価法として、免疫染色以外の方法を模索することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
多くの試薬を購入し、機器のメンテナンスなどを行ったが若干の余裕が出た。次年度以降に備品の購入等にあてる予定である。
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