本研究では、血中ケトン体増加が高齢者の代謝疾患を改善するのではないかという疑問の元、直接的に血中ケトン体を増加させるケトン食を与えた場合における表現型の変化を検討した。その中でも糖代謝やエネルギー代謝に焦点を当てた研究を行った。高齢者における糖代謝異常をケトン体は是正できたものの、体重の減少はエネルギー代謝(Ucp1遺伝子発現の上昇)によるものではなかった。これらの結果より、ケトン食による血中ケトン体の増加は、体重の減少による糖代謝亢進に繋がるものの、その体重の変化は、加齢性エネルギー代謝不全の改善によるものではなく、不用意なケトン食の適用が高齢者の「飢餓」に結びついてしまう可能性を示した。
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