研究課題/領域番号 |
16K19315
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
植村 麻希子 香川大学, 医学部, 助教 (00710188)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 光療法 / がん化学療法 / 制吐剤 / 悪心嘔吐 / 時計遺伝子 / 概日リズム / 菌血症 / 熱型 |
研究実績の概要 |
がん化学療法中の悪心・嘔吐患者において障害された覚醒と就眠のリズムを、光療法を用いて修正し、それによる制吐作用を検証する。本研究の仮説検証過程は以下の通りである。(1) がん化学療法患者における覚醒と就眠のリズム障害を時計遺伝子の定量により評価する。 (2) 制吐剤の定期的時間差交替療法と光療法の併用による臨床的制吐作用を臨床試験で評価する。(3) 制吐作用の効果がみられた症例における時計遺伝子の表出を定量評価する。 本研究の仮説は、がん化学療法中の催吐患者において時計遺伝子の発現障害があり、制吐剤の定期的時間差交替療法と光療法の併用により効率よく悪心・嘔吐がコントロールできる、である。がん化学療法中患者において光療法の制吐効果を、臨床的、分子生物学的に確認するのが本研究の目的である。 これまでに概日周期と人の免疫機能の研究を進める中で、概日周期が正常に機能するからこそ起こる感染症による死亡率の違いについて学ぶに至った(Science 2016;354:999)。さらに、菌血症の発症時間による死亡率の差に関する動物実験結果を知り、それが臨床的に証明されれば、今後のがん化学療法患者の感染症対策に有用であると考えた。そこで我々はがん化学療法を実施した250例を解析して、菌血症105例の発症時間とその予後を比較検討した。菌血症による死亡が17例(16.2%)にみられ30日以内に死亡していた。菌血症の発症時間の分布を調べたところ時間帯による生存日数の差はみられなかったが、菌血症の発症時間を日中(8時~16時)と夜間(16時~翌朝8時)の二群に分けて生存時間解析したところ、夜間発症群の方が日中発症群より生存率が低い傾向がみられた。 これらの研究結果を踏まえて、今年度では発熱の時間帯と発熱の熱型、および概日リズム内での発熱様式から、各部位の感染症の予見が可能か、またその予後がどうかについて検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
時計遺伝子の発現を健常人および患者の検体で確認した。しかしながらラメルテオン内服による時計遺伝子発現の差がみられていなかった。よって現在治療中の臨床症例において、菌血症の発症時間とその予後に調査した。その結果を基礎に、さらに熱型と感染部位との関連について調査を追加する。
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今後の研究の推進方策 |
熱型と感染部位との関連について調査を進める予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
時計遺伝子発現の確認実験が当初の計画通り進行しなかったため、実際の臨床検体を用いた解析で代用し、新たな知見を得ている。
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