研究実績の概要 |
平成18年3月~26年11月までの愛媛大学附属病院の抗加齢・予防医療センターにおいて、抗加齢ドック初回受診者1,891名のうち、コリンエステラーゼ阻害薬などの認知症治療薬使用者を除く1,877名(男性 743名、女性 1,134名、平均年齢 65.4±9.5歳)を対象として横断研究を行った。 認知機能はタッチパネル式認知症検査、認知度チェックテスト(MCI Screen)で評価し、末梢の糖・インスリン代謝の指標として空腹時血糖(FBS)、HbA1c(NGSP値)、空腹時インスリン値(IRI)、末梢インスリン抵抗性(HOMA-IR=IRI×FBS÷405)、インスリン分泌能(HOMA-β=IRI×360÷[FBS-63])を測定し、その関連を解析した。 その結果、糖・インスリン代謝異常が軽度認知障害(MCI)を促進し、特に比較的若年層ではその影響が大きい可能性が示唆された。早期の糖・インスリン代謝異常に対する介入が必要と考え、研究成果を日本神経学会、日本老年医学会、日本認知症学会などの関連学会にて発表した。 また、MCIやアルツハイマー型認知症(AD)には根本的な治療がないことから、近年、糖尿病治療薬による認知症改善・進行予防効果が期待されており、特にチアゾリジン系誘導体は高インスリン血症やインスリン抵抗性の改善に加え神経保護的効果も報告されている。インスリンや経口糖尿病薬について使用期間や種類、容量などの情報収集を行い、追加解析を行った。
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