本研究では、愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センターにおいて、抗加齢ドックを平成18年(2006年)3月より受診した方のデータの収集及び解析を行った。まず平成26年(2014年)11月までの同ドック初回受診者の解析(横断研究)を行い、次いで平成29年(2017年)11月までの同ドック複数回受診者のうち、経時的に認知機能検査を行った方のデータで解析(後ろ向き縦断研究)を行った。 研究では、末梢での糖・インスリン代謝の指標として、空腹時血糖(FBS)、HbA1c、空腹時インスリン(IRI)を測定し、末梢のインスリン抵抗性(HOMA-IR)、インスリン分泌能(HOMA-β)を算出した。また動脈硬化指標として、上腕足首間脈波伝搬速度(baPWV)及び頸動脈エコーで総頚動脈内膜中膜厚(IMT)を測定し評価した。認知機能評価はまずタッチパネル式認知症検査や認知度チェックテスト(MCI-Screen)にて正常と軽度認知障害(MCI)を判別し、さらに改定長谷川式簡易認知症スケール(HDS-R)やMMSEを行い、認知症を判別した。統計学的有意差はt検定で、また相関関係についてはPearson解析を行い、p<0.05を有意と解釈した。 その結果、末梢性インスリン抵抗性が高い場合、インスリン分泌能がMCI発症や認知機能の経時的悪化に独立して影響する可能性が示唆された。その成果については前年度(2018年)の学術集会にて発表を行った。最終年度はその研究成果の論文化を行った。
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